原油相場の不安定化は続く可能性が高い

 | 2016年01月20日 09:52

アナリストコメント

筆者は先週から、リスク選好回帰の鍵は良好な米企業の四半期決算とそれを受けた米国株式の上昇にあると指摘しきた。
しかし、比較チャート①で示す通り、14日以降の米国株式と原油相場との強い相関性(0.95)が、米四半期決算以上に強まっている現状を考えるならば、原油相場が安定化しない限り米国株式が安定化する可能性は低い。これはリスク選好の先導役不在を意味する。よって、年初からの不安定なマーケット状況は今後も続く懸念が台頭している。
その原油相場については、既述の通り今年3月に開催予定の石油輸出国機構(OPEC)の総会で大幅な減産合意に至るまで、現在の下落傾向が続く可能性が高いと想定している。反発材料として注視すべきはロシア(世界第2位の原油産出国)による中東への軍事介入の強化だろう。だが、米国(世界第3位の原油産出国)及びイラン(世界第7位の原油産出国)産の原油が今後市場に流入することを考えるならば、ロシアの中東介入強化により原油価格が反発しても、それは一過性で終わろう。

外為市場では、引き続き円高リスクに警戒したい。また、ユーロ相場も堅調に推移する可能性が高いだろう。事実、USD/JPYは目先の上限と想定される118.30レベルで上値の重い展開が続き、ユーロ相場は対ポンドで1年ぶり、そして対カナダドル及び豪ドルでは2009年後半以来となる高値水準への攻防へシフトしている。

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【米株と原油相場の相関完成】 青:S&P500 赤:WTI 黄:相関係数