引締めに向かってアクセルを踏み続けるイエレンFRB

 | 2015年01月29日 09:15

<Market Overview-米利上げペースに変化なし>

米連邦準備理事会(FRB)が28日発表した米連邦公開市場委員会(FOMC)声明では、米経済の回復と労働市場の持続的な改善に強気の見方を示すと同時に、利上げに向け「忍耐強くなれる(be patient)」との表現を引き続き盛り込んだ。
また、超低金利政策を「相当な期間(considerable time)」維持するという表現は削除した。今回の声明はイエレンFRBが金融正常化(利上げ)に向けアクセルを踏み続けることを示唆した内容となっており、外為市場がドル買いで反応したのは至極当然と言える。

今後、米経済に対するリスク要因として認識しておくべきは、声明文でも指摘している短期的な物価上昇(インフレ)率の低下と国際情勢だろう。前者に関しては、米金利の低空飛行を促し且つドル売り要因ともなろう。その(インフレ率低下の)最大の要因はやはり原油安だろう。だが、中長期的にはそれ(原油安)による家計所得の増加と個人消費の拡大を促そう。それらに伴い労働市場も継続的に改善することでインフレ率は自然と上昇しよう。

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よって、6月利上げに黄色信号が灯るとすれば、それは後者に因るものとなろう。今回の声明文では新たに「international developments」という文言が追加された。そして「if incoming information indicates faster progress toward the Committee’s employment and inflation objectives than the Committee now expects, then increases in the target range for the federal funds rate are likely to occur sooner than currently anticipated. Conversely, if progress proves slower than expected, then increases in the target range are likely to occur later than currently anticipated」と、引き続きData dependencyのスタンス維持を表明している点を鑑みるに、昨今のユーロ圏及び新興国経済の低迷、そしてロシアや中東の地政学リスクといった国際情勢(international developments)が米国経済の成長の阻害要因となっていることが実際の指標データで確認されれば、イエレンFRBは躊躇なく6月利上げを先延ばしするだろう。

目先は30日に発表される10-12月期実質国内総生産(GDP)速報値が注目される。

< テクニカル分析-ドル円、引き続き117円ブレイクを意識>

レジスタンス
118.88:リトレースメント61.80%
118.36:21日MA (赤ライン)
118.30:オファー

サポート   
117.00:サポートポイント
115.85:1月16日安値
117.00:ビッド
116.90:ビッド(輸入)
116.50:ビッド
116.00:ビッド
115.85:1月16日安値

本日のドル円相場もグローバル株式市場に左右される状況が継続しよう。不安定な米株の状況を考えるならば、短期サポートラインをブレイクする展開を常に想定したい。目先の焦点は117円台の維持だが、116円台の攻防へとシフトした場合は、ビッドが観測されている116.90、116.50そして116.00レベルで反転するかが注目される。

一方、上値の焦点は、21日MA(赤ライン)の突破となろう。118.30-40及び119.00にはそれぞれオファーが観測されている。