投資家Bコミが旅してきた投資の過去・現在、そして未来へ ~前編~

投資家Bコミが旅してきた投資の過去・現在、そして未来へ ~前編~

最新情報  | 2019年08月06日 12:34

投資家Bコミが旅してきた投資の過去・現在、そして未来へ ~前編~
Bコミ氏インタビュー

証券ディーラー、ファンドマネージャーとして業界の第一線で活躍したBコミ氏。豊富な知識と徹底した市場分析で資産1.5億円を超える資産を築き、現在は投資評論家、インフルエンサーとして自ら行動し情報発信を続け、日本の投資環境の整備や投資リテラシー向上に尽力している。今回の投資家インタビュー【前編】では、そんなBコミ氏が歩んできた過去と現在の活動について紹介していく。

Bコミ氏が投資を始めたきっかけ

−投資に興味を持った直接的なきっかけなどありますか?

僕は小さい頃からKUMON(くもん)をやっていて、文字をちゃんと読めたので、幼稚園の頃から新聞を何となく見ていました。そこに数字が並ぶ欄があり、親に「この欄は何?」と聞くと、「これは株ですよ」ということで、株式に出会います。そして、当時「松本亨の株式必勝学」というファミコンのソフトがありまして、100銘柄ぐらいまでしか売買できないですが、ちゃんと株価が動いたりしました。それで株のルールとか仕組みを覚えて、小学校3年生ぐらいの時には、信用取引を使うと自分のお金以上の株を買えることを知りました。

高校時代には色んな興味が湧き、部活はテニスをやり、他にはバンドもやってという青春時代でした。大学でもバンドを続けていて、一緒にやった人たちはプロになりましたが、僕は株の面白さに目覚め、これまでの貯金とバイトをしたりして元手200万円ぐらいで株を始めました。最終的には学費と食費と生活費は自分で賄っていましたね。

―大学卒業後はこれまでの経験を活かしてトレーディングの仕事に就いたのですか?

もちろん、プロの運用職に就きたいという希望はありました。とはいえ、狭き門である上に、株式の売買に制限がかかってしまうのはなんか面白くないなと思い、新卒でメーカーに就職しました。でも、少しして、なぜかディーラー職を募集している会社があったので、そこを受けに行ったんです。こういう経歴で、こんな事やってきて、「どうしてもやりたいです!」と伝えると採用され、新卒の会社は半年ちょっとで辞めてディーラーデビューしました。

  • 投資のプロとして生きていくBコミ氏

―ここから完全実力の世界に身を置いていくことになったんですね。

ディーラーになってから当然短期売買をやりますが、契約社員で歩合制なので、駄目ならすぐクビという世界でした。一番早い先輩で、3日でクビになったんですよ。でも、そこの会社は儲かる人を連れてきて、そのまま儲けるのではなく、ディーラー初心者を育てる会社でした。僕がいるときは、会社に70人ぐらいディーラーがいたと思いますが、一応トップになりまして、新天地を求めて次の会社に移りました。その後、証券会社を2、3社転々として28歳になる頃に、長期運用をするファンドマネージャーを志すようになりました。新卒の時点ではファンドマネージャーは超高学歴じゃないと基本的に箸にも棒にもかからないので、転職だったらという希望を抱き、たまたま「かんぽ生命」に受かりました。そこで2年ぐらい債券のファンドマネージャーをやり、その後、株の方に異動しました。

―評論家、インフルエンサー、個人投資家の「Bコミ」として活動を始めるのはいつ頃でしょうか?

35歳になって、運用知識を十分に得ることができたのでファンドマネージャーを辞め、自分の自己資金を運用するファンドみたいなのをやろうかなと思っていました。まあデイトレーダーみたいなトレーダーですが。しかし、妻にそれは駄目だと。世の中の役に立つ仕事をしなさいということを言われ、トレードスクールを始めました。それが注目されて、最初は雑誌の取材に、ラジオ出演、それから証券会社のセミナーという順番に仕事が広がっていきました。僕は、仕事をやりなさいと言われると、120%で返さないといけないという凝り性な所があり、「これ何に使いたいんですか?ターゲット何ですか?何したいんですか?過去の色んな同じようなセミナーの問題点ってなんですか?」など全部聞いて、やっていく内に、評論ってすごく面白いなと思いまして、現在に至ります。

  • Bコミ氏の現在の活動

 ―Bコミさんは、具体的にどのような活動をしているんですか?

去年、注力して手掛けたのが、「ログミーファイナンス」という決算説明会の書き起こしをやっているメディアです。僕が、機関から個人投資家になって、一番の大きな差が「情報」なんです。この情報の非対称性が大きな問題だと考えています。トレードツールは結構プロに近づいてます。でも、情報が全然まだなんですね。機関投資家にしか説明会をしませんという会社もたくさんあるのが実情です。そういう観点から、ログミーファイナンスは非常にいいサービスで、彼らは機関投資家説明会に乗り込んで、全文を書き起こして、それを次の朝までにアップしているんです。これは本当に情報格差を縮めてくれる会社だなと思い、極力協力していました。彼らの要望でもある「永続的に事業が続くような質の高い個人投資家向けの説明会」を開催するために、IR(Investor Relations:インベスター・リレーションズ)のセミナーを自分で全部一から企画しました。今度5回目なんですけどね。

IRに関わる中で、出展する企業からの一番の要望が、若い方を数多く呼びたいということです。それで、どうしたらいいのかを考えて、若者を呼べる仕組み作りを行ったりしました。具体的には、僕のTwitterを中心に、 Twitterでしか参加者を募集しません。そして、入場を QR コードに制限しました。そうすると高齢の方ではなく、若い方を中心に来場いただけるようになります。セミナーは5時間という設定になっているため、できる限り飽きがこないように、自分が話を聞きたい演者を毎回呼んだりしていますね。こういう仕組みづくりが最近結構好きです。

トレーディングルーム

  • Bコミ氏の精神論、テンバガー超え銘柄との出会い、失敗談

―ディーラー、ファンドマネージャーとして多額の資金を動かす中で、メンタル面が鍛え上げられたと感じますか?

僕は、メンタルは鍛えられないと思うんですよ。メンタルを鍛えれば強くなる、自分に負荷をかけ続ければ困難に立ち向かえるという考え方があると思うんですけど、それは全くないと僕は思っています。と言うのも、ディーラーの頃、自分の取れないポジションをギリギリまでとって、「ギリギリまで損切りを我慢しておけば俺は上手くなれる!」と信じていましたが、そんなことは全くありませんでした。

例えば、中高の部活なら、精神的な負荷をかければ上手くなったりするじゃないですか。でも、実際は精神的な成長というよりは、ほとんどが肉体的な成長なんです。投資の場合、肉体は成長しないですから、その理論は通用しないんですよ。そこで大事なのは「ブレないメンタルを持つこと」になります。メンタルをぶらさないために、イライラしないというのがひとつあるとしたら、満員電車に乗らないとか、奥さんと喧嘩しないとか、そういうところからメンタルっていうのを作っていくべきだと思うんですね。損がかさんでくると「もういいや」ってなっちゃう人は特にそうだと思います。そこはすごく大事なところですね。

―印象に残っている銘柄はありますか?

印象に残っている銘柄は、平田機工(6258)とかですかね。これは僕がこの仕事は始めてから、「この企業は伸びます」という話を無名な頃から個人投資家の勉強会とかでしてました。これを話すと「何その銘柄?」みたいな印象だったんですけど、それが600円から1万2,000円ぐらいまで20倍になりテンバガー以上になったので、僕の知名度が一つ上がった銘柄なのかなと思ってます。

―どうやったらテンバガー級の銘柄を見つけられますか?

テンバガーになる時は、最初からテンバガーになるとは多分思わないんですよ。「この会社いいな」とか、「裏付けこうだよね」というのが分かっていて、2倍3倍になった時に明確な道が出てきます。その時、みんなテンバガーに向かって走り出すという感じなので。平田機工の成長がしっかり見えたのは有機ELでしたが、家電のラインとか、自動車の製造ラインを作る会社なんです。PERも超低いし、PBRもめっちゃ低い。かつ、海外では、自分の会社に貢献してくれたサプライヤーを表彰するんですが、それがダイソンとか結構いろんなところから貰っていて、技術力はあるなと思いました。あと、アベノミクスが始まった時に、設備投資をちゃんとやりますということで、設備投資関連だったのも注目した理由でした。四季報で変化をみつけろという人もいますが、当時は何の変化もなかったですね。何の変化もない前から見つけてたというのは、やっぱり価値あるよねと僕は思っています。

 ―過去の失敗談はありますか?

銘柄でいつも失敗することがありますよ。見通しが甘かったとか。あと、若い頃にテクニカルで投資をしていたことは大きな失敗だったと思います。例えば、トレンドラインを引いて、それがデッドクロスしそうになったら損切りをすると決めます。そして、トレンドラインを抜けて、もう1回引いたりするんです。もう1回、さらにもう1回と線引いて、同じようにどんどん突き抜けていくと、トレンドラインがダメだなと言って、次のテクニカル指標を試します。それでも、どんどん下がっていくと、「そうだ!モメンタム系の指標を忘れてたぞ!」と言ってRSI を使うわけですよ。RSI を使うと、0%が10%にピッと上がって、「よし戻った!」、また0になれば、「ああ…」とか言ってました。最後は何をするかと言うとテクニカル指標全部捨てて、「頑張れー!」と祈っているんです。絵(画面)だけ見て判断するなら、子供でもできますよね。

  • 投資は具体的な目標設定と相場が動き出すまでに準備ができるかどうか。

―これから投資を考えている方へのアドバイスをお願いします。

株を始める方に「あなたは株式投資でどのぐらい儲かりたいんですか?」と質問すると、8割5分か、9割近い人が、「一円でも多くに決まってるじゃないか」と答えます。リスクをとって運用するので、損をするかもしれない以上、1円でも多く儲かりたいに決まってます。しかし、これは間違いで、何%儲かりたいかを考え、それによって張る金額と、銘柄を分散するというのが基本だと僕は思っていますので。なかなかそう逆算するのは難しいのですが、もし、儲けが5%でOKなら、高配当株を買って信用取引でポジションを載せたりすると10%ぐらいまではそれでなんとかなります。それ以上儲けたい人が、株式の個別株で利益を取るような勉強をするべきです。

―投資は「なんとなく」ではなく、「明確なゴール」を持つことが大事なんですね。

おそらく最短2、3年、最長5年ほどは相場が停滞します。ここで重要なのは、小泉政権やアベノミクスがそうですが、相場が始まった時に投資をやってるかどうかになります。そこで1年で5倍、2年目で5倍で25倍になって、もう株を止めればいいんですよ。そうすると500万円を運用できていれば1億2500万円になりますから。それで引退出来るんですよ。

だからこそ、その時期まで種銭を持ちながら株の勉強ができるのかと言うことが、株式投資のメインテーマであり、意識してほしい所です。やるべきことは、やはりマクロから始まって、業績の確認、あとケーススタディが大事になると思います。この企業はこういう癖があるから、こういう業績が出ますねというのが、過去3年前にあった、6年前にもあったという引き出しを大量に整理しておくことです。引き出しの整理がちゃんとできている状態を作るというのがポイントになります。なかなかそういう時期が来るまで、みんなやらないですが。だからこそ、今は株に投資するチャンスではないけれど、勉強するチャンスですよというのは言いたいですね。

投資家インタビュー第四弾【前編】をお読みいただき、ありがとうございます!

【後編】では、Bコミ氏の投資手法に迫ります!

 

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