7月8日のアジア市場原油価格は安定して推移している米雇用統計が予想を上回る好調ぶりだったことが背景として考えられている。
WTI原油先物は0.2%高の57.61ドル、ブレント原油先物は小動きで64.26ドルとなった。
EIA週間石油統計の発表により、米国原油在庫の減少が予想より遥かに少なかった事が分かり、原油市場の週間リターンはマイナスとなっている。
OANDAシニアアナリストのアルフォンソ・エスパルザ氏は「世界経済の成長は引き続き原油価格を抑える主な要因であり続ける」と述べている。同氏はまた、「OPEC+の協調減産は原油価格の急落を引き続き抑えるが、エネルギー製品の需要回復のため、保護貿易はどこかで終わらせなければならない」と加えた。
しかし、OPECによる協調減産の2020年3月までの延長合意は原油価格下落を抑える結果となった。ロイターの調査により、OPECの6月の原油生産が過去5年間で最低レベルに達した事が分かっており、それも一因として考えられている。
米中首脳会談により通商協議再開が決定し、貿易問題に関して幸先の良い報道があったことから、原油価格は先週初め急騰していた。
一方で7月5日発表の6月雇用統計が22万4000件となり、過去5ヶ月で最大となる等など予想を上回る結果となり、FRBによる今月中の利下げ期待が低下している。
ロイターは、雇用統計は原油市場にとって追い風だと報じている。
バンガードマーケットMDのステファン・イネス氏はロイターの取材に対し、「米非農業部門雇用者数の予想を上回る結果に支えられ、7月8日午前の市場は慎重な出方となった」と述べている。また同氏は、「世界経済の暗い見通しに関して、市場はとても慎重な姿勢を貫くだろう」と述べている。
また、イランのウラン濃縮度引き上げ作業を取りやめるように欧州が要請する等、中東は引き続き緊張状態が続いている事が報じられた。
先週英海兵隊は、EUの制裁に違反しシリアに原油を輸送していたとして、イランの石油タンカーを英領ジブラルタル沖で拿捕している。