米、対ベネズエラ政策転換 与野党協力し暫定政権樹立なら制裁解除

Reuters

発行済 2020年04月01日 12:34

[ワシントン 31日 ロイター] - 米政府は31日、ベネズエラのマドゥロ大統領率いる与党と野党が協力し、マドゥロ氏を退陣させたうえで暫定政府を樹立し、政権移行に道筋をつければ、米国の制裁を解除するとの新たな提案を発表した。これまでの圧力政策を転換させた。

ポンペオ国務長官がベネズエラのための「民主主義への移行の枠組み」を公表、同国の石油部門などを対象とする厳格な米制裁を順次解除する道筋が初めて示された。米圧力政策に加え、原油安や新型コロナウイルス感染拡大の問題で苦境に立つベネズエラに対し、早期の公正な選挙実現に向け、米側が態度を軟化させた格好となった。

提案によると、マドゥロ氏だけでなく昨年に暫定大統領就任を宣言した野党指導者のグアイド国会議長も退陣し、暫定政権に加わることはできない。野党が掌握する国会は「主要な勢力が受け入れられる包摂的な暫定政府を選出」するよう求められている。ポンペオ氏は、新たな選挙は6─12カ月以内に実施されるのが望ましいとの考えを示した。

ただ、野党に歩み寄るようマドゥロ政権側を説得するのは困難が予想される。米国をはじめとする複数の国はグアイド氏を暫定大統領として認めている。

それでもなお、ベネズエラ問題を担当する米国のエイブラムス特別代表は先に、ロイターに「マドゥロ政権は過去最大の圧力にさらされている」と指摘。「この圧力が政権内の真剣な話し合いにつながるかもしれない」と期待感を示した。

一方、ベネズエラの外務省は米国の提案は「世界を脅かす(新型コロナ)のパンデミックの最中に、地政学的な優位性を得る狙いがある」と批判した。

エイブラムス氏は、マドゥロ氏は退陣する必要があるが、今回の提案は同氏に国外追放を迫るものではないと述べ、「理論上は出馬も可能」と語った。

ポンペオ氏は、「マドゥロ氏がベネズエラを統治することは二度とない」と強調し、マドゥロ政権側が米国の提案を真剣に受けとめることを願うと述べた。