ロシア軍、黒海の蛇島から撤退 港湾封鎖緩和か

Reuters

発行済 2022年07月01日 04:24

[キーウ(キエフ) 30日 ロイター] - ロシア軍は30日、黒海の戦略的前哨基地である蛇島から引き揚げた。ウクライナ側が勝利した格好でロシアによるウクライナの港湾封鎖の手が緩む可能性がある。

ロシアは、ウクライナからの穀物輸送を可能にする人道的回廊設置に向けた国連の取り組みをロシアが妨害していないことを示すために、「善意のしるし」として蛇島からの撤退を決定したと発表した。

一方、ウクライナはロシア軍が夜間の砲撃とミサイル攻撃を受けて撤退したと発表。

ウクライナのイェルマーク大統領府長官は30日、ツイッターで「蛇島にロシア軍はもういない。わが軍が素晴らしい仕事をした」と述べた。

一方、バイデン米大統領は北大西洋条約機構(NATO)首脳会議閉幕後に米政府が数日中にウクライナに対する8億ドル規模の追加軍事支援を発表すると表明。米国およびNATO加盟国はロシアのプーチン大統領に立ち向かうために結束していると述べた。

また、記者会見で「どのような結末を迎えるのかは分からないが、ロシアがウクライナで敗北するだけでは終わらないだろう。ウクライナはすでにロシアに深刻な打撃を与えている」とし、「われわれはウクライナをいつまでも支援していく」と語った。

<煙と炎>

ウクライナ軍は上空から蛇島を撮影したとみられる画像をフェイスブックに投稿。数本の黒煙が立ち上がる様子が映され、「(敵軍は)島を後にしたようだ。現在、蛇島は炎に包まれ、爆発が起こっている」とした。

ウクライナ軍幹部によると、ウクライナ軍はまだ蛇島を占領していないが、占領するつもりだという。

米国を拠点とする外交政策研究所(FPRI)のロブ・リー氏は「最も重要な点はウクライナ経済と世界の食料供給に不可欠な港湾都市オデーサ(オデッサ)からの穀物輸出に道が開かれる可能性があることだ」と述べた。