米上院民主党、4300億ドルの歳出法案で合意 新たなEV税額控除も

Reuters

発行済 2022年07月28日 10:39

更新済 2022年07月28日 14:18

[ワシントン 27日 ロイター] - 米民主党のマンチン上院議員は27日、法人増税やエネルギー技術への投資、薬価引き下げなどを盛り込んだ法案でシューマー上院院内総務と合意したと発表した。

マンチン氏はこれまで、薬価引き下げには前向きとしつつ歳出拡大によるインフレ高進に懸念を示していた。

両氏は声明で、法案にはエネルギーと健康保険への投資に4300億ドルの新規支出が盛り込まれているが、大企業の最低税率を15%に引き上げ、内国歳入庁(IRS)の税法執行を強化することなどで財源を十分に確保できるとした。

また財政赤字が約3000億ドル削減され、2030年までに二酸化炭素排出が約40%削減されると述べた。

民主党が昨年描いていた数兆ドルの歳出法案を大幅に下回る規模だが、11月の中間選挙を前にバイデン大統領の政策目標を大きく前進させるものとなる。

シューマー氏は来週にも上院(定数100)で法案を取り上げるとしており、「財政調整措置(リコンシリエーション)」を用いて可決させる意向だ。この手続きを使えば通常の60票ではなく51票の賛成で法案を可決できるため、民主党全員が支持すれば単独での可決が可能になる。

<自動車メーカーがロビー活動>

上院民主党の合意内容には、中古の電気自動車(EV)に対する4000ドルの新たな税額控除や、環境に優しい車を製造するための工場改修補助金のほか、7500ドルの既存EV税額控除の拡大、クリーンテクノロジー製造施設の建設に向けた100億ドルの投資税額控除も含まれている。

自動車メーカーは、EVのコスト競争力を高める税制優遇措置がなければ排出削減目標を達成できないと警告し、EV税額控除の延長を強く働きかけていた。

ゼネラル・モーターズ(GM)やテスラなどは販売台数上限に達したため、既存EV税額控除の対象から外れている。トヨタ自動車も今月、上限に達したと発表した。