Georgina McCartney Arathy Somasekhar
[ヒューストン 9日 ロイター] - 紅海周辺でイエメンの親イラン武装組織フーシ派による商船襲撃が相次いでいることを受けて、多くのコンテナ船が紅海を迂回しているが、石油タンカーは引き続き紅海ルートを利用していることが船舶追跡データで明らかになった。
フーシ派の襲撃を受け、運賃や保険料は高騰したが、石油輸送には懸念されていたほど大きな影響は出ていない。フーシ派はイスラエルに向かう船舶を標的にすると表明しているが、主な攻撃対象は石油タンカー以外の船舶だ。
輸送コストは上昇したものの、多くの荷主にとって、紅海ルートはアフリカの喜望峰を経由するルートに比べると、まだはるかに割安だ。
ただ、BPやエクイノールなど一部の石油会社は、紅海を迂回するルートに切り替えており、今後の動向には注意を要する。専門家によると、輸送コストの上昇を受けて、欧州の一部の輸入業者は米国産原油の買い付けを増やすとみられている。
ロイズ・リストの海運アナリスト、ミシェル・ウィーゼ・ボックマン氏は「誰もが予想していたようなタンカー輸送の中断は起きていない」と指摘した。
船舶追跡サービスのマリトレースによると、12月に紅海南部とアデン湾を航行した石油・燃料タンカーは1日平均76隻。11月の平均を2隻、1─11月の平均を3隻下回っただけだった。
同業のケプラーによると、12月に紅海全域とアデン湾を航行した船舶は1日平均236隻で、11月の平均である230隻をやや上回った。
ボックマン氏によると、喜望峰を経由するルートでは石油輸出の採算が悪化するため、紅海ルートを継続する動きが出ている。
船舶分析会社Marhelmによると、石油タンカーのチャーター料は12月初め以降、約2倍に高騰。100万バレルの原油を積載できるスエズマックス型タンカーのチャーター料は1日最大8万5000ドルだ。
マリトレースによると、フーシ派の船舶攻撃が相次いだ12月18─22日は、紅海南部を航行するタンカーが一時的に1日平均66隻に減少したが、その後、紅海航路を再開する動きが広がった。
一方、コンテナ船の航行は12月に前月比で28%減少。攻撃が激化した月後半に急減したという。