米大統領期待の抗マラリア薬、コロナ患者の死亡率上げる恐れ=研究

Reuters

発行済 2020年04月22日 13:05

[21日 ロイター] - トランプ米大統領が新型コロナウイルス感染症の治療薬として期待感を示す抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンについて、投与を受けた米退役軍人の治療結果を分析した査読前の論文がネット上で公開された。これによると、効果は全くなく、死亡リスクを高める恐れさえあるとの結果が示された。

研究は、退役軍人保健局(VA)の医療センターに新型コロナ感染症で入院し、4月11日までに死亡あるいは退院した退役軍人368人の医療記録を調べたもので、臨床試験の結果ではない。専門家による査読を経て医学ジャーナルに掲載される前の状態で公開された。新型コロナ感染拡大を受けて査読前でも研究結果を共有する動きが広がっている。

論文によると、標準的な治療に加えてヒドロキシクロロキンを投与された患者97人の死亡率が28%だったのに対し、投与を受けなかった患者158人の死亡率はこれよりも低い11%だった。ヒドロキシクロロキンと抗生物質アジスロマイシンを併せて投与された患者113人の死亡率は22%。