三菱重、今期損益予想ゼロ コロナで民間航空機と中量産品影響大

Reuters

発行済 2020年05月11日 16:31

更新済 2020年05月11日 18:00

[東京 11日 ロイター] - 三菱重工業 (T:7011)は11日、2021年3月期(今期)の連結業績予想(国際会計基準)について、売上収益は前期比6.0%減の3兆8000億円、事業損益・当期損益いずれもゼロの見通しと発表した。年間配当は1株当たり75円を予定する。 前期は開発中の小型機「スペースジェット(旧MRJ)」の損失計上が響き、事業損益は20年ぶりの赤字となった。

新型コロナウイルスが今期の事業利益に与える影響については「足元の状況から先行きを仮定して算出しており、今後変更の可能性はある」としている。感染拡大で米航空機製造大手ボーイング (N:BA)の減産の影響を受ける民間航空機部品、自動車向けターボチャージャーなど中量産品の各事業が落ち込む。

泉沢清次社長はオンラインでの会見で、民間航空機や中量産品は「足元の影響が大きい」と述べた。特に、新型コロナ感染拡大が航空業界に与える影響は甚大。今期の旅客需要は前期比5割減の見通しで、航空会社の設備投資も削減されるとみており、どういう形で需要が回復するのか「予測が難しい」と語った。

今期はカナダ航空機製造大手ボンバルディア (TO:BBDb)の小型旅客機買収に伴い500―700億円程度を減損処理し、スペースジェットの開発費を前期(約1400億円)から半分近くに抑える。5月から役員報酬も削減、業務効率化なども進め、損益トントンを目指す。

スペースジェットの開発スケジュールへの影響も懸念され、北米市場向け主力モデル「M100」(70席クラス)の開発検討作業などについては「今後の進め方を再考する」(泉沢社長)という。一方、ボーイングがブラジル航空機製造大手エンブラエル (SA:EMBR3)商用機部門の買収合意を白紙撤回したことに関しては「スペースジェット事業に影響するとは考えていない」と述べた。

2020年3月期(前期)連結決算では、事業損益が295億円の赤字(前の年は2005億円の黒字)、当期利益が前の年に比べ21%減の871億円だった。スペースジェット関連の減損や開発費が響いた。同社によると、事業損益の赤字は2000年3月期以来、20年ぶり。

前期配当は期末に1株当たり75円とし、中間の75円と合わせ、計画通り年間150円を実施する。新型コロナの影響を除けば、前期実績はおおむね想定通りで、財務状態は引き続き堅調という。

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