NZが500億NZドルの新型コロナ復興予算、雇用など支援

Reuters

発行済 2020年05月14日 13:32

更新済 2020年05月14日 18:00

[ウェリントン 14日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)政府は14日、2020年度(2020年7月─21年6月)予算を発表。新型コロナウイルスの世界的流行で打撃を受けた経済の立て直しに向け500億NZドル(300億米ドル)の過去最大規模の予算を計上した。インフラや医療、住宅向けの大型財政支出、給与支援プログラムの拡充を盛り込んだ。アーダーン首相は「雇用」予算と称したが、大規模な失業や企業破綻を防ぐのに十分ではない可能性もある。

アーダーン首相は議会で大量の失業を食い止めることが最優先課題と説明。「異例の状況にあり、われわれの対応も異例であるべきだ」と述べた。

財務省によると、500億NZドルは最新の経済予測の対象である4年間で使われる見通しで、このうち約300億NZドルは今年度に計上したという。

予算と併せて発表した経済予測によると、現在4%の失業率は今年度末の6月までに10%近くに上昇する見込み。

2024年の債務は2000億NZドルと昨年12月の予想(760億NZドル)から大幅に増加。

公的債務の対国内総生産(GDP)比率は2022/23年度(23年6月まで)に53.6%に達すると予想した。政府目標の15─25%を大幅に上回ることになる。

今年度の損益除外財政収支(OBEGAL)はGDP比9.6%と、昨年12月の予想(0.3%)から大幅に上昇、今後2年間は平均9.3%で推移するとみている。

2020年のGDP成長率はマイナス4.6%と予想し、22年までに緩やかに回復すると見込む。

ロバートソン財務相は極めて異例の予算だとし、「NZ史上で最も重大な政府の財政的コミットメントだ」と強調。ただ、歳出拡大をもってしても、経済活動は急低下し、失業率は大幅に上昇する見通しだと警告した。

ウェストパックのシニアエコノミスト、マイケル・ゴードン氏は、非常時の緊急対応として予想を超える規模となったと述べた。

格付け会社S&Pグローバル・レーティングはノートで、今回の予算について、今後数年、ニュージーランドの財政にかなりの打撃を及ぼした後、緩やかに回復すると予想。

「ニュージーランド経済は、予算の想定よりも急速なロックダウン緩和により、予算の想定を超えるペースで回復すると予想する」としている。

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ロバートソン財務相は、一連の措置により、失業率は2022年6月までに現在の4.2%の水準に戻るとの見通しを示し、2年間で14万人分の雇用が救われると試算した。