コロナ渦中の企業支援、日銀になお役割=竹中平蔵・東洋大教授

Reuters

発行済 2020年09月03日 19:53

[東京 3日 ロイター] - 小泉純一郎政権で構造改革を進めた竹中平蔵東洋大学教授は3日、ロイターとのインタビューで、次期政権が取り組むべき課題として、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた企業への資金支援を挙げ、給付型から貸付型に変えていくべきだと指摘した。その中で日銀の役割が広がる可能性があると語った。

自民党総裁選に出馬表明した菅義偉官房長官と政策について議論することもあるという竹中氏は、新型コロナ渦中で苦しむ企業への支援策は今後も必要だと指摘。しかし、「給付型では財政に大きな負担がかかる」とし、「貸付型に変えていく必要がある」と語った。

一部の航空会社が政府系金融機関などから資本調達を検討していると報じられていることについて、「いきなり出資するのではなく貸付にして、例えば自己(資本)比率換算のときに除外するといったルールを作ったうえで、将来落ち着いたときに必要に応じてデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)をするという方法もある」とした。

竹中氏は、米連邦準備理事会(FRB)が民間企業に資金提供していること、日銀も1923年の関東大震災後に震災手形を引き受けたことを引き合いに出し、貸付型に移行する中で「日銀が果たす役割はもう少しでてくる可能性はある」と語った。

デフレ脱却を掲げた安倍政権のもと、日銀が打ち出したマイナス金利政策にも言及し、「さらに深掘りするのは1つの選択肢だが、その効果がどれくらいあるかは見通しがたい」と述べた。

菅官房長官が会見で言及した地方銀行の再編については、「地銀が多すぎるというよりも、銀行のビジネスモデルが成り立たなくなっている」と指摘。顧客側が借り入れよりも資本性の資金を求めているとした上で、「新しい金融機関に生まれ変わらないといけない」と語った。「きちんとした競争をやっていけば数は減っていくと思う」と述べた。

さらに竹中氏は、新型コロナの感染拡大防止と経済回復という課題に直面する次期政権にとって、デジタル化の推進がその解決策だと強調。それが結果として地方経済の活性化にもつながるとし、「デジタル庁みないなものを期限付きで作ればいい」と述べた。