欧州当局、コロナワクチンは時間かけ審査 拙速な認可に警戒の声

Reuters

発行済 2020年12月02日 20:34

更新済 2020年12月03日 02:00

[ブリュッセル 2日 ロイター] - 欧州医薬品庁(EMA)は2日、新型コロナウイルスワクチンの安全性審査により時間をかける方針を示した。また欧州議会からは拙速な認可に警戒する声もでている。

英政府は2日、米ファイザーが独ビオンテックと共同開発した新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を承認。ファイザーの新型コロナワクチンの承認は世界初で、最速での認可となった。

英国の緊急使用許可に対してEMAは、一段の根拠と検査が必要な時間をかけた審査が適切との立場を示し、「現下のパンデミック(世界的な大流行)からみて、条件付きでの認可が最も適切な判断だと考えている」とした。

EMAは前日、この手順に基づいて29日までに承認する可能性があると表明していた。

欧州連合(EU)の規制では、ファイザーのワクチンにはEMAの認可が必要となるが、各国は緊急措置として、それぞれの国内で一時的に使用を許可することは認められている。

欧州委員会の報道官は、EMAの手続きの方がより多くの根拠に基づいているとした上で、「これこそEU市民が安全で有効なワクチンを得るための最も効果的な規制手続きだ」と述べた。

こうした中、欧州議会の一部議員からは、英国の拙速な認可を疑問視する声が上がった。

ドイツキリスト教民主同盟(CDU)のメンバーであるペーター・リーゼ議員は「英国の決定には問題があると考えられ、こうした手続きを繰り返さないようEU加盟国に進言する」と表明。「EMAによる数週間に及ぶ綿密な審査は、ワクチンの緊急販売承認を急ぐよりも優れている」と述べた。