巨大化する五輪、東京大会で意義問い直す=橋本・組織委会長

Reuters

発行済 2021年06月23日 07:06

[東京 23日 ロイター] - 東京五輪・パラリンピック大会組織員会の橋本聖子会長は22日、ロイターなどとの取材に応じ、近年の大会は巨大化しすぎたとし、新型コロナウイルス禍に直面する東京大会は五輪の意義や価値を問い直す機会になると語った。

五輪開催を巡って今も世論が割れていることについては、自身の説明不足が一因との認識を示した。

<巨大化を懸念したアスリート時代>

スピードスケート、自転車競技の選手として夏冬通算7回の五輪に出場した橋本会長は、近年の五輪が「非常に巨大化しすぎてしまってきているのではないかと懸念しながらアストリート時代を送ってきた」と発言。「世界に向かって本来の意義や価値を伝えきれないまま、感動の渦の中で過ぎ去ってしまっていたと感じていた」と述べた。

今大会は新型コロナという世界的な感染症の中で開かれることから、「東京は克服していかなければならないという使命を持たされたのだと思う」とした上で、感動だけで終わるのではなく、感染症や自然災害、食の問題など、世界的な課題にメッセージを発信するイベントにすべきとの認識を示した。橋本氏は「振り返った時に、五輪の価値がここから変わったのだという転換点となるような東京大会を目指したい」と語った。

もともと昨年7月に開催予定だった東京五輪は、コロナの影響で1年延期。主催都市の東京をはじめ、日本国内で感染がなお収束しないことから、外国からの観客は受け入れず、国内の観客も収容能力の50%以内、最大1万人とすることを決めた。

政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長ら専門家は無観客を提言していたが、橋本会長は「無観客の方がリスクが低いことは承知している」としつつ、「他のイベントなどは有観客でコロナのクラスターを発生させていないというエビデンス(証拠)もある」と指摘。「(対策を)徹底することによって、有観客が可能であれば準備をすべきだという判断をした」と説明した。

開会式は2万人の入場を認めるとの一部報道については、「あくまで観客は1万人。どれだけ関係者がいるか(精査しており)、2万人には到達しない数で開会式を迎えたい」と述べた。

観客上限を1万人としたことで、販売済みのチケット364万枚は91万枚減り、チケット収入はこれまでの試算900億円の半分以下となる見通し。国内観客を制限しなかった場合に比べ、経済効果は894億円減少するとの試算もある。

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