パウエル元米国務長官死去、湾岸戦争指揮 84歳

Reuters

発行済 2021年10月18日 22:47

更新済 2021年10月19日 11:19

[ワシントン 18日 ロイター] - 米国で黒人として初めて国務長官と軍制服組トップの統合参謀本部議長を務めたパウエル元国務長官が18日、死去した。84歳だった。死因は新型コロナウイルス感染による合併症だった。家族がフェイスブックへの投稿で明らかにした。

家族によると、パウエル氏はワクチン接種を完全に済ませていた。

親しい友人によると、パウエル氏は多発性骨髄腫を患い、治療により症状が軽減・消失した「寛解」と呼ばれる状態だった。初期のパーキンソン病にもかかっていた。血液のがんである骨髄腫は人体の免疫機能を低下させ、新型コロナが重症化するリスクを高める。

パウエル氏はベトナム戦争に従軍し、負傷。87─89年にレーガン政権で国家安全保障問題担当補佐官を務め、ジョージ・ブッシュ(父)政権下の91年に統合参謀本部議長として湾岸戦争を指揮した。

その後、ブッシュ(子)元大統領の下では国務長官を務め、2003年2月5日に国連安全保障理事会で、イラクのフセイン政権が大量の化学・生物兵器を隠し持っており、世界に対する喫緊の脅威になっていると訴えた。

パウエル氏は後になって国連安保理で自身が主張した内容を振り返り、ブッシュ政権の他の当局者から提供された不正確でゆがめられた情報が多く含まれていたと認め、自身の経歴に一生残る「汚点」を残したと語った。

1996年に共和党から大統領選挙への出馬を検討したが、妻が身の安全に懸念を示したことで断念。2008年に黒人として初めて米大統領に当選した民主党のバラク・オバマ氏に対し党派を超えて支持を示した。

共和党の右傾化への懸念から、16年の大統領選でも民主党候補のクリントン氏を支持し、昨年の大統領選も共和党のトランプ氏は米国にとって危険な存在だと批判し、民主党候補のバイデン氏の支持に回った。

バイデン大統領は「大統領選でパウエル氏から受けた支持と、この国の魂のために共闘できたことに絶えず感謝している」とコメントした。

パウエル氏がコロナワクチンを接種していたことについては「非常に深刻な基礎疾患が2つあった。残念ながら(ワクチンは)効果を発揮しなかった」と述べ、国民に改めてワクチンを接種するよう呼び掛けた。

アプリを入手する
Investing.comで、世界の金融市場の最新動向をチェックしましょう!
今すぐダウンロード