Reuters
発行済 2021年12月08日 10:02
[ロンドン 7日 ロイター] - 世界全体の家計資産に占める「超」富裕層の資産保有比率は今年3.5%と、コロナ禍が発生した昨年初めごろの2%強から一段と上昇し、過去最多水準を記録した。社会科学者のグループが7日公表した最新の「世界不平等リポート」で、超富裕層による「世界の富の支配」が改めて浮き彫りになった。
リポート執筆を主導したルーカス・チャンセル氏は「コロナ危機は超富裕層とその他の人々の格差を助長した」と指摘した。
2019年にノーベル経済学賞を共同受賞したアビジット・バナジー氏とエステール・デュフロ氏も執筆に加わった。報告書は「資産が将来の経済的な利益や権力、影響力の主な源泉となる以上、この状況は今後格差が一段と開く事態を予見させる」と述べ、「極めて少数の超富裕層の手に経済力が異常に集中」していると説明した。
今回のリポートによると、資産上位0.01%の富裕層52万人の合計資産も世界全体に占める比率が昨年の10%から11%に切り上がった。
富裕層が富を拡大した背景としては、コロナ禍対応のロックダウンに際して世界の経済活動の多くがオンラインに移行する流れに乗じたことや、世界経済の回復期待の中で金融市場の資産価格が上昇した恩恵を指摘した。
リポートは各地域に目を向け、福祉制度が整っていない国では貧困が急増した一方、米国と欧州では政府の大規模支援によって少なくとも一部の低所得層の痛手は和らげることができたと指摘。チャンセル氏は「貧困との闘いにおいては社会福祉国家の重要性が証明されている」と強調した。
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