アングル:ウクライナ危機、「ロシア寄り」の中国にリスク

Reuters

発行済 2022年02月26日 19:09

[北京 26日 ロイター] - ロシアのウクライナ侵攻で、中国は外交的に微妙な立場に立たされた。中国にとってロシアは「対西側」で共闘するパートナー。これまでのところ「侵攻」という表現も使っていない。国際社会がロシアに対する批判の声を上げる中、ロシアへの配慮はリスクをはらむ。

中国は繰り返し対話を求めている。王毅外相は25日に欧州高官と相次いで電話会談し、中国はウクライナを含む各国の主権を尊重するが、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大に対するロシアの懸念には適切に対処すべきと述べた。

中国の外交政策は他国への不干渉を基本とする。2014年のロシアのクリミア併合もまだ承認していない。

北京駐在の外交官は「侵略を否定するという最初の反応には驚かされた。主権、領土の一体性、不干渉という長年の立場と完全に矛盾している」と述べた。

3週間前、習近平国家主席は北京冬季五輪開幕直前にプーチン・ロシア大統領と会談し、米国の影響力に対抗することを目的とした広範な戦略的パートナーシップで合意した。

ロシアのウクライナ攻撃は、五輪閉幕の数日後に行われた。

メルカトル中国研究所(MERICS)の主任アナリスト、ヘレナ・レガルダ氏は、中国が今回クリミア併合後の対応を取り入れたとみる。つまり、この問題に基本的に関与しないという態度だ。

しかしレガーダ氏は、14年に比べて今は地政学的状況が厳しく、中国への視線も厳しくなっていると指摘。「『どちらかの肩も持たない』という姿勢は、もはや有効な選択肢でない」と述べた。

先月、習主席はウクライナとの国交樹立30周年を記念し、両国の「政治的相互信頼の深化」を称賛した。ウクライナは中国の広域経済圏構想「一帯一路」のハブでもある。