コロナにリンクの指針、先行きの見直し望む声=3月日銀会合要旨

Reuters

発行済 2023年05月08日 10:12

更新済 2023年05月08日 10:36

[東京 8日 ロイター] - 日銀が3月9―10日に開いた金融政策決定会合では、新型コロナウイルス感染症にひもづけた金融政策の先行き指針(フォワードガイダンス)の一部について、何人かの委員が感染症への警戒感が和らいできているとして「現時点では維持するとしても、先行き見直しを検討することが適当だ」と述べていたことが分かった。日銀が8日、決定会合の議事要旨を公表した。

日銀は4月の決定会合でフォワードガイダンスの文言を修正し、「新型コロナ感染症の影響を注視」との文言を削除した。

3月会合では、新規感染者数の減少傾向が続く中で政府が5月に感染症法上の位置付けを「5類」に移行することを決定した点を何人かの委員が指摘した。政策決定では金融緩和の現状維持を全員一致で決め、長期金利の変動幅もプラスマイナス0.5%で据え置いた。

ある委員は、イールドカーブのゆがみは十分に是正されたとは言いがたいものの「現時点では、企業金融面への影響は限定的」との見方を示した。社債市場についてある委員は、発行の閑散期で確定的な評価をするには時期尚早だが、国債市場の機能度低下の影響が引き続き残っているほか「発行年限の短期化や銀行貸出へのシフトも観察されている」と指摘。引き続き注視が必要だとした。

会合では、2%物価目標に関連して賃金と物価の関係についての議論も深まった。物価上昇率ではなく賃金上昇率を目標にすべきという意見が外部の有識者などから出ていることに対し、ある委員は、実質賃金は中長期的には金融政策ではコントロールできない労働生産性の伸びによって決定されるため「金融政策の目標とするのは難しいのではないか」との見解を示した。