中国鉱工業生産、10月は大幅に鈍化 他の指標も軒並み予想下回る

Reuters

発行済 2019年11月14日 16:33

中国鉱工業生産、10月は大幅に鈍化 他の指標も軒並み予想下回る

[北京 14日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した10月の鉱工業生産は前年比4.7%増と、伸びが大幅に鈍化し、市場予想の5.4%増を下回った。

外需と内需の低迷や米中貿易戦争が依然として重しになっていることが浮き彫りとなった。

併せて発表された指標は、鉱工業以外の部門も低調なことを示し、小売売上高は約16年ぶりの低い伸び、固定資産投資は1996年以降で最低の伸びとなった。

1992年の四半期統計開始以来、最低の成長率を記録した第3・四半期に続き[nL3N2730MC]、第4・四半期に入っても厳しい状況が続いていることが鮮明となり、中国当局にはさらなる支援策を迫る形となっている。

指標発表を受けて、中国経済が貿易戦争の打撃を受けているとの懸念が強まり、アジア株が下落している。

ノムラはノートで「一連のデータは、成長への逆風が依然強く、中国経済はまだ底入れしていないという当社の見解を裏付けるもの」とし、第4・四半期の国内総生産(GDP)は前年比5.8%増と、第3・四半期(6.0%増)から伸びが鈍化すると予想した。

これまでに発表された10月の指標も、製造業をとりまく環境の厳しさを物語っている。中国国家統計局発表の製造業購買担当者景気指数(PMI)は景況拡大と悪化の分かれ目となる50を6カ月連続で下回り、生産者物価指数(PPI)は前年比1.6%低下して2016年7月以来の大幅なマイナスとなった。[nL3N27G1WO][nL3N27Q02E]

鉱工業生産統計の内訳をみると、鉱工業製品の輸出は前年比3.8%減と3カ月連続のマイナス。鉄鋼の生産は7カ月ぶりの低水準で、セメントの生産は1年あまりぶりの前年割れとなった。

米中の関税合戦が世界の需要に打撃を与え、サプライチェーン(供給網)や金融市場を混乱させている。

米中通商協議に最近、ある程度進展の兆しが見られたことを評価する投資家もいるが、米中両国の当局者からは合意を確約するような発言は聞かれない。こうした先行き不透明感が製造業セクターの重しとなっている。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、マーティン・リンジ・ラスムセン氏は「確かに、米中の第1段階の合意に対する期待で、企業投資が短期的に拡大する可能性はある」と指摘。

アプリを入手する
Investing.comで、世界の金融市場の最新動向をチェックしましょう!
今すぐダウンロード

ただ「今後数カ月で部分的な合意が成立しても、次の関心は解決困難な問題に移る。貿易交渉は最終的には決裂するだろう。依然として追加金融緩和の必要がある」と述べた。

<固定資産投資は記録的な低い伸び>

1─10月の固定資産投資は前年比5.2%増。ロイターのデータがある1996年以降で最低の伸びとなった。市場予想は5.4%増だった。投資全体の60%を占める民間部門の固定資産投資は4.4%増だった。

インフラ投資の鈍化傾向に歯止めをかけようと、中国国務院(内閣に相当)は13日、一部インフラ計画の投資規制について、最低自己資本比率の引き下げを決めた。

しかし、地方政府は、減税や景気減速による税収減少で厳しい財政運営を迫られ、中央政府が成長回復に必要とする大型インフラ事業を進める余裕はない。

この日発表となった1─10月の不動産投資も伸びが鈍化した。

10月の小売売上高は前年比7.2%増。市場予想は7.9%増だった。約16年ぶりの低い伸びとなった。

ここ数カ月は豚肉などの食料価格の上昇が消費者を直撃している。

消費者が高額品の購入を控えていることから、10月の自動車販売台数は前年比4%減と、16カ月連続の減少となった。

<カウンターシクリカルな調整さらに>

中国人民銀行(中央銀行)は今月、政策金利と位置付けられる1年物中期貸出ファシリティー(MLF)金利を2016年初め以来、初めて引き下げた。

アナリストらは、人民銀の動きは小粒だが、人民銀がより積極的な姿勢に傾いている可能性があると指摘し、インフレ加速で新たな刺激措置を打てないのではないかとの投資家の懸念を和らげようとしている兆候と受け止めている。