米耐久財受注、2月は1.2%増 新型コロナで落ち込む見通し

Reuters

発行済 2020年03月26日 00:39

更新済 2020年03月26日 01:45

[ワシントン 25日 ロイター] - 米商務省が25日発表した2月の耐久財受注(季節調整済み)は、前月比1.2%増と、市場予想の0.8%減に反してプラスとなった。ただ、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を抑えるための厳しい対策が講じられる中で需要が減っており、耐久財受注は今後減少するとみられる。

耐久財はトースターから航空機まで3年以上使われるモノを指す。

1月の耐久財受注は当初発表の0.2%減から0.1%増へ上方改定された。

耐久財受注の前年同月比は0.4%増だった。

前月比の内訳は、輸送機器が4.6%増。1月は0.9%減だった。民間航空機は2月に0.3%減。1月は356.7%急増していた。自動車・同部品は2月に1.8%増。1月は0.5%減少していた。

民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注は0.8%減。1月の数字は当初発表の1.1%増から1.0%増へ小幅に下方改定された。

機械と一次金属、コンピューター・電子製品も減少した。一方、電機・家電は1.3%増だった。

GDPの設備投資の算出に用いられるコア資本財の出荷は0.7%減。1月は1.1%増だった。設備投資は3四半期連続で落ち込んでおり、減少は09年以来の長い期間。エコノミストはトランプ政権が中国と20カ月間繰り広げている貿易摩擦が設備投資低迷の要因だと指摘している。

輸送機器の受注は2月は増加したものの、航空機大手ボーイング (N:BA)は新型ウイルスの感染拡大が深刻なワシントン州の一部工場を一時的に閉鎖。自動車メーカーも新型ウイルスの感染から従業員を守るために工場の操業を停止しているため、輸送機器の受注は今後、弱体化する恐れがある。

ムーディーズ・アナリティクス(ペンシルバニア州)のシニアエコノミスト、ライアン・スィート氏は「企業利益が減少し、経済が縮小していることを踏まえると、企業投資は大きな打撃を受ける」と指摘。

MUFG(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「景気後退(リセッション)時には企業投資が情勢を決定するカギとなる。現在は、受注減を受け経済は3月にもリセッションに陥ったとみられており、企業投資の振り子は逆の方向に振れている」と述べた。

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新型ウイルスの感染拡大で経済は急減速している。全米の人口の半分近くを占める最低18州の州知事が、スーパーマーケットや薬局、ガソリンスタンド、病院への外出など必要な用事以外は主に自宅にいるように指示した。

また「必須でない」事業にも休業を指示。これにより多くの人が職を失い、失業保険申請件数が急増した。サービス部門の打撃が大きいが、製造業も供給網の混乱の影響が出ている。米経済の11%を占める製造業は、長期間低迷した後、新型ウイルスの感染拡大が始まる前までは安定の兆しを示していた。

IHSマークイットが前日発表した3月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)は2009年8月以来の低水準を付けた。米経済が既に景気後退入りしているとの見方が浮上した。