米失業保険申請のピークこれから、救済策が影響 各州は対応に苦慮

Reuters

発行済 2020年04月01日 09:04

更新済 2020年04月01日 09:18

[ワシントン 31日 ロイター] - 米国で新型コロナウイルス感染が拡大するなか、エコノミストや州当局は、毎週公表される国内の新規失業保険申請件数が今後も過去最多を更新すると予想する。

各州で失業保険申請が殺到し、未処理分が積み上がっているほか、成立したばかりの大型経済対策で失業者支援が拡充されたことが背景にある。

ロイターがエコノミストを対象に行った調査によると、28日終了週の新規失業保険申請件数は季節調整済みで350万件と、前週に記録した過去最多の328万件からさらに22万件増えたとみられる。なかには、525万件まで増えたとの予想があった。

州当局への失業保険申請は急増しており、システムの処理能力を上回るケースも出ている。州政府は、新型コロナ感染拡大を防止するため、相次いで市民に自宅待機を指示している。

米議会では前週、2兆2000億ドル規模の「コロナウイルス支援・救済・経済保障法」(CARES法)が通過し、トランプ大統領の署名を経て成立した。これにより失業者は1週間当たり最大600ドルの追加給付を受けられることになった。解雇による失業者は最長4カ月間、追加給付の対象となる。

労働省が失業保険申請の基準を緩和したことも、申請件数の急増を招いたと考えられている。新型コロナが原因で一時的に職を失ったり、感染した家族の看病をするため仕事を休む必要がある人々に給付金を支払うことを可能にするための州法改正について、州当局の裁量が認められた。

FHNフィナンシャルの首席エコノミスト、クリス・ロー氏は「基準の変更でさらに多くの人の申請が可能になり、CARES法で一段と制限が緩和された」と指摘。「われわれが聞いている話では、多数の企業はCARES法の成立を待って人員削減を行ったようだ」とした。

<積み上がる未処理の申請>

一部の州の当局者は、積み上がった失業保険申請の処理や、CARES法で認められた新たな種類の申請にコンピューターシステムを適合させるのに苦戦していると明かす。未処理分は公式な統計にまだ含まれていない。

コロラド州労働省のシャー・ハービンド報道官は27日、電話取材に応じ、「7万5000件の申請があったため深夜まで仕事は終わらないだろう」と述べていた。

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しかし、同州が前週、米労働省に報告していた申請件数は2万件弱にとどまっていた。ハービンド氏は、未処理のものだけでなく、公式な統計上の申請件数が今後数週間で増えると予想した。

ミネソタ州の当局は、失業保険申請の処理に問題が生じないよう、社会保障番号の末尾の数字により、曜日ごとの申請を制限している。