日銀、新資金供給手段を決定 75兆円のコロナ対策を21年3月まで実施

Reuters

発行済 2020年05月22日 10:46

更新済 2020年05月22日 11:18

[東京 22日 ロイター] - 日銀は22日、臨時の金融政策決定会合を開き、金融機関向けの新たな資金供給手段を決定した。民間金融機関による無利子・無担保で信用保証付き融資などを対象に、期間1年以内、金利ゼロ%で供給する。金融政策は現状維持としたが、新型コロナの影響を注視し、必要があれば躊躇なく追加緩和を打ち出す方針を改めて示した。

日銀は3月以降、新型コロナ対応で打ち出してきたCP(コマーシャルペーパー)・社債の買い入れ増、金融機関への特別オペ、制度融資などを前提にした新たな資金供給オペの3つを、総枠約75兆円の「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」とし、実施期限を半年間延長して2021年3月までとすることを決めた。

新たな資金供給は共通担保を担保に実施する。利用残高の2倍の額を金利ゼロ%の「マクロ加算残高」に加算するとともに、利用残高に相当する当座預金にプラス0.1%の付利を実施する。

新たな資金供給の対象には、緊急経済対策で盛り込まれた無利子・無担保融資、新型コロナ対応として信用保証協会による保証の認定を受けて実行した融資に加え、融資条件面で制度融資に準じたプロパー融資(信用保証協会などの保証が付かない融資)も含む。資金供給の対象は約30兆円。5月末時点の金融機関の融資実績を踏まえ、6月中に開始する予定。

日銀は声明で、一連の措置を通じて企業等の資金繰り支援と市場の安定維持に努める方針を示した。

金融政策は現状維持を決めた。長期金利の誘導目標はゼロ%程度、マイナス金利はマイナス0.1%でそれぞれ据え置いた。長短金利の操作目標の据え置きには片岡剛士委員が反対した。

きょうは黒田東彦総裁の会見を実施しない。臨時会合は、欧州債務危機への対応を議論した2011年11月30日の会合以来、8年半ぶり。