米失業保険申請、200万件下回る 依然高止まり

Reuters

発行済 2020年06月04日 23:48

更新済 2020年06月05日 01:10

[ワシントン 4日 ロイター] - 米労働省が4日発表した5月30日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は187万7000件と、3月半ば以降初めて200万件を下回ったものの、企業が新型コロナウイルスによって一変した状況に対応する中、依然として非常に高い水準にある。市場予想は180万件だった。

前週の失業保険申請件数は212万6000件だった。3月下旬に過去最高の686万7000件を付けて以降、減ってきている。高水準にあるものの、今回の指標は労働市場の最悪期が過ぎたことを示唆する。3日に発表された5月の民間部門雇用者数は予想ほど悪化しなかった。

MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「米国で新型コロナ流行の峠を越した可能性があることは朗報だ。一方、数百万人もの失業者を抱えれば経済が脆弱な成長にとどまるという見通しは悪いニュースだ」と述べた。

自営業者や単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」などに適用されるパンデミック失業支援(PUA)申請件数は62万3073件。

これら全ての数字を合わせると、16日終了週時点で約3000万人が何らかの失業保険の給付を受けていたことになる。前週の3100万人からは小幅減少した。

5月23日終了週の失業保険受給総数は64万9000件増の2148万7000件。エコノミストの間では5月初旬に記録した約2490万件がピークだったとの見方が大勢。

INGのチーフ国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトレー氏は「経済再開に向けた道のりと雇用への効果は期待ほどスムーズではない可能性がある」と述べた。

5月は消費者信頼感や製造業とサービス業の景況感指標も、低水準ながらも安定してきた。新型ウイルスの感染拡大を抑えるために3月中旬に導入した封鎖措置が引き起こした景気低迷が底を打ったことを示唆する。多くの事業が5月中旬までに活動を再開した。

失業保険申請件数が高止まりしている要因としてエコノミストは、企業が軟調な需要に対応する中で雇用削減の第2波が起きているほか、封鎖措置が導入された当初に申請が殺到したため追いついていなかった申請処理が今指標に表れていると指摘する。

ライトソンICAP(ニュージャージー州)のチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は「新規失業保険申請件数の多くは今起きている解雇を反映している。企業は向こう1年間の見通しが変わったことを受け調整し始めている」とし、「経済活動が再開し始めても失業者は増え続ける」と話した。

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