日銀法は幅広い解釈可能、独立して政策運営できている=桜井委員

Reuters

発行済 2020年10月21日 16:46

[東京 21日 ロイター] - 日銀の桜井真審議委員は21日午後、福井県金融経済懇談会後の記者会見で「日銀法は基本法であり、かなり広く解釈できる」と指摘。現在の日銀法の下で独立して金融政策運営ができていると述べ、与党で出ている、日銀法を改正して中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を可能にするだけでなく、金融政策の目的まで見直すべきだとの意見をけん制した。

桜井委員は21日午前のあいさつで、日銀法2条を引用して「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するため、適時適切に対応していく」と語った。桜井委員は「CBDCも含めて、日銀法の中で行えるものなのか、それはこれからの課題」と述べた。

米連邦準備理事会(FRB)は物価安定と雇用の最大化を政策目標としているが、桜井委員は、日銀はコロナ対応で「物価安定と雇用を両方重視して行っている」と述べた。

<政策効果、見極めの段階>

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて打ち出した一連の緩和政策について、桜井委員は「既存の政策効果を冷静に見守るのが今の段階」と指摘した。当面は実体経済や金融情勢を注視し、「大きな変化が出てくるとか、変わる可能性が出てくる、トレンドが出てくるということになれば何らかの政策判断ということになるのではないか」と話した。

21年3月末に期限を迎えるコロナ対応オペなどの期限延長については「状況を見ながら考えていく」と語った。

桜井委員は、景気回復が遅れることで政策効果が副作用に転じるリスクに懸念を示した。「回復に時間がかかる可能性が強くなると、成功してきた(政策の)効果が逆に問題を提起する可能性も出てくるのではないか」と述べた。

次回の金融政策決定会合で議論する経済・物価情勢の展望(展望リポート)については、7月時と「(景気・物価ともに)大きな変化はない」と述べた。