景気判断、9地域中3地域引き上げ・1地域引き下げ=日銀経済報告

Reuters

発行済 2021年01月14日 14:48

更新済 2021年01月14日 15:09

[東京 14日 ロイター] - 日銀は14日に公表した地域経済報告(さくらリポート)で、全9地域中3地域の景気判断を引き上げる一方、1地域の判断を引き下げた。5地域は据え置きとした。多くの地域で、新型コロナウイルスの影響で「厳しい状態にある」としつつ、「持ち直しの動きが見られている」などとした。ただ、足元ではサービス業を中心に感染症の再拡大の影響を指摘する声が上がっているとした。

景気判断を引き上げたのは北陸、四国、九州・沖縄。引き下げたのは北海道。判断を引き上げた地域は前回、弱めの景気判断を示していた。四国は前回、9地域中唯一判断を据え置いていた。北海道は、感染者の急増で政府の観光需要喚起策「GoToトラベル」が全国に先駆けて停止となったことが判断引き下げにつながった。

需要項目別で、個人消費は北海道、東海、中国の3地域が引き下げとなる一方、北陸と九州・沖縄の2地域は引き上げ。関東甲信越は判断を据え置いたが、昨年11月半ば以降、外食などサービス消費について減速感が強まっているとの指摘が聞かれたという。

一方、生産は9地域全てで判断を引き上げた。全地域の判断引き上げは2009年10月以来。自動車関連に加え、電機・電子デバイスと好調業種に広がりが見られた。

緊急事態宣言の再発出で先行き不透明感が強まっている。日銀・調査統計局の島田康隆地域経済調査課長は「11都府県の影響のみならず、他地域への波及もありそうだ」と指摘。「飲食・宿泊などサービス消費への影響だけでなく、人出の減少による他業態への影響、設備投資・雇用などの2次的な波及、それらに対する各種施策の下支え効果も含めてしっかり見ていく必要がある」と話している。