米雇用統計:識者はこうみる

Reuters

発行済 2021年05月08日 00:53

[7日 ロイター] - 米労働省が7日発表した4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比26万6000人増と、市場予想の97万8000人増を大幅に下回る伸びとなった。労働力不足が要因となった可能性がある。政府からの大規模な支援を背景に米経済が再開される中、企業は旺盛な需要への対応に追われている。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●テーパリング協議巡る圧力が緩和

<レイモンド・ジェームズの最高投資責任者(CIO)、ラリー・アダム氏>

1回の指標ではトレンドになり得ないが、経済が過熱しインフレが急上昇するとの見方を冷ます内容となった。今回の雇用統計を受け、テーパリング(量的緩和の縮小)の早急な協議を巡る米連邦準備理事会(FRB)へのプレッシャーが緩和した。FRBは忍耐強くあることを望み、テーパリングを先延ばしにしたいと考えている。ある意味では、バイデン大統領にとって追加の財政刺激策を後押しする材料になるかもしれない。

米経済の勢いは依然として力強く、1回の指標に過剰に反応することはない。完全ない回復にはもう少し時間がかかるだろうが、経済のトレンドは引き続き非常に堅調だ。

●内容はポジティブ、状況改善示唆

<ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティチュートのシニアグローバル市場ストラテジスト、サメール・サマナ氏>

非農業部門雇用者数の伸びは予想を大きく下回り、3カ月および6カ月の平均も下回った。これは労働市場の回復が平坦ではないことを示している。

ただ、労働時間や労働参加率、賃金の伸びなどは全て予想を上回るなどポジティブなもので、状況が改善していることを示唆した。

1回の雇用統計を過度に受け止めておらず、労働市場は引き続き順調で、消費者の信頼感と消費を支えるには十分と考えている。

また投資を巡る背景は引き続きポジティブで、投資家は債券よりも株式を、ディフェンシブ銘柄よりもシクリカルまたはグロース銘柄を選好すべきだろう。

●雇用のミスマッチ発生も一過性か