マレーシアGDP、第1四半期は減少幅が縮小 外需など改善

Reuters

発行済 2021年05月11日 13:51

更新済 2021年05月11日 16:55

[クアラルンプール 11日 ロイター] - マレーシア中央銀行が11日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)は前年比0.5%減少し、4四半期連続のマイナスとなった。ただ、減少幅は2020年第4・四半期(3.4%減)から縮小、ロイターがまとめた市場予想(2.0%減)よりも小幅にとどまった。

新型コロナウイルス感染が拡大しているものの、国内支出が上向き外需も改善した。

2020年のGDPは5.6%減と、アジア金融危機以来の大幅な落ち込みを記録。新型コロナ感染を抑制するため、年の大半を通して移動や経済活動が厳しく制限されたことが響いた。

マレーシア中銀のノル・シャムシア・ユヌス総裁は、オンラインでの記者会見で「今年のGDPの伸びは6─7.5%という予想の範囲内になる見込みだ」と語った。

「回復の道筋は、経済のさまざまなセクターで段階的かつ不均一になるだろう。その過程で減速帯に直面する可能性もある。だが、21年を通じて経済が回復を続けるというのがわれわれの認識だ」と述べた。

第1・四半期は、半導体や医療機器の需要増を受け輸出が18.2%増加。強い外需を追い風に製造業の生産は6.6%増加した。

キャピタル・エコノミクスのアジアエコノミスト、アレックス・ホルムズ氏は、第1・四半期のGDPが予想より小幅な落ち込みにとどまったことについて、実施されたロックダウン(都市封鎖)が限定的で重要なセクターは活動を継続できたことが主因と指摘した。

GDPの70%超を占める個人消費は1.5%減。第4・四半期の3.5%減から持ち直した。政府支出は5.9%増加した。

マレーシアでは再び新型コロナの感染者が急増。感染力の強い変異株に関連しているとの指摘もある。政府は10日、全土での1カ月間のロックダウン(都市封鎖)を発表した。

ホルムズ氏は「ロックダウンの再導入で見通しは再び悪化した。第2・四半期は個人消費が低迷するとみられる」と述べた。

中銀は、回復を支援するため緩和的政策を維持する方針を示しつつも、物価圧力を制御し金融の不均衡が生じないか注視する必要があるとしている。