情報BOX:7月再燃の米債務上限問題、短期金利に低下圧力

Reuters

発行済 2021年06月17日 13:14

[ニューヨーク 14日 ロイター] - 米連邦債務上限の適用を一時停止する措置が7月末に失効するのを前に、財務省は政府預金口座(TGA)の残高圧縮を迫られている。つまり既に大量の流動性を抱える金融システムへ、さらに一段の資金流入がが発生することになる。これにより短期金利を一段と押し下げ、翌日物レポ市場に不必要な「ゆがみ」をもたらす恐れがある。

<債務上限とは>

連邦政府が各種債務支払いのために借り入れができる額の限度で、議会が定める。上限に達すると財務省はそれ以上短期、中期、長期全ての国債を発行できず、税収だけで支払いを行わなければならない。

連邦議会は2019年7月、債務上限の適用を21年7月末まで一時的に停止することに合意した。そこから財務省が資金繰りのための「特例措置」でしのげるのは数カ月に過ぎず、この間に議会が上限を引き上げないと、デフォルト(債務不履行)が発生する。

<上限復活までに財務省ができること>

保有現金の圧縮だ。財務省は7月末のTGA残高を4500億ドルとすることが目標。米調査会社・ライトソンICAPのデータによると、6月9日時点の残高は6740億ドルで、昨年10月の1兆8000億ドルを大幅に下回っている。

アナリストによると、債務上限復活前に残高を積み上げることはできない。なぜなら債務上限をすり抜ける行動だとみなされるからだ。

議会が上限を引き上げない、あるいは上限適用停止を延長しない場合でも、この残高で1カ月余りはやりくりできる。その後も資金繰りのために独自に使える幾つかの「特例措置」がある。

<政府預金の向かう先>

財務省がTGAをより多く取り崩すことで、そのお金はしばしばマネー・マーケット・ファンド(MMF)という形で、銀行のバランスシートに吸い込まれる。ライトソンは、6月の銀行の平均準備預金は3兆8000億ドルから4兆ドルに達すると想定している。