トルコ大統領の大使追放指示、経済苦境から目をそらす目的か

Reuters

発行済 2021年10月25日 10:24

[イスタンブール 24日 ロイター] - トルコのエルドアン大統領が西側10カ国の大使追放を外務省に指示したことを受け、同国野党や専門家は経済の苦境から目をそらさせるのが目的だと批判した。一方、外交関係者は大使追放が回避される可能性になお望みをかけている。

エルドアン氏は23日、トルコで拘束中の慈善家オスマン・カバラ氏の釈放を求めた10カ国の大使追放を外務省に指示したと述べた。

同国の通貨リラは、中央銀行が先週に200ベーシスポイント(bp)の利下げを行ったことを受け、過去最安値を付けており、市場で懸念が強まっている。アジア時間25日の朝方にリラは対ドルで1.6%下落し、過去最安値を更新した。

野党・共和人民党(CHP)のケマル・キリクダログル党首は、エルドアン氏は「急速にトルコを危機の瀬戸際に追い詰めている」と語気を強めた。大使追放は「国益を守るためではなく、経済の崩壊に見せ掛けの理由を付けるのが目的だ」とツイッターに投稿した。

一方、イスタンブールに本拠を置くシンクタンク「エダム」の会長で元外交官のシナン・ウルゲン氏はツイッターに「トルコ政府が(大使追放を)実行に移さないことを望む」と投稿。北大西洋条約機構(NATO)加盟国としては前例のない動きだと述べた。