世界の株価、決算発表シーズンに一段の急落も 業績下方修正進まず

Reuters

発行済 2022年07月11日 14:15

[ミラノ 8日 ロイター] - 世界の株式市場が、今月に始まる四半期決算や発表前の業績下方修正をきっかけに再び急落する恐れがあるとの見方が市場専門家の間で浮上している。景気後退リスクの高まりを踏まえれば、企業が現時点で示している利益見通しはまだ楽観的過ぎるように見えるからだ。

世界の株式時価総額は今年1月に過去最大を記録して以来、20兆ドル以上も減少。主要中銀が経済成長を損なわずにインフレを抑制するのに四苦八苦する中で、株式市場は弱気相場入りしたままになっている。MSCI・AC世界株価指数の予想株価収益率(PER)は14.3倍と、過去20年間の平均を約11%下回った。

その後、業績予想の下方修正を始めた企業もある。最近の米小売りのターゲットやウォルマートのほか、コロナ禍中に勝ち組だったドイツの衣料オンライン小売りのザランド、英格安雑貨小売りB&Mなどだ。エネルギーコスト急騰や消費者の支出削減が理由とされている。

しかし、バークレイズのストラテジスト、エマニュエル・カウ氏は業績見通しが全体には高いままだと指摘。そうなると相対的に株価が割安に見えてしまうため、投資家が誤解して押し目買いを入れ、株価が下がりきらない現象が起きるという。同氏は業績見通しが下方修正されるまでは結果的に株価が底を打つのが難しいかもしれないとの見方。それでも「市場のけん引役はバリュエーション(割安さ)ではなく実際の企業収益に移っていく」と予想する。

シンプリファイ・パートナーズのアドバイザー、フランチェスコ・クドラノ氏は「企業業績見通しの下方修正は実際、まだほとんど進んでいない。まだ楽観論が強すぎる」と警告する。今月の一連の決算関連の発表に伴って株価の再度の調整が起こりやすいとし、市場のボラティリティーが大きいことで特に下落が増幅される可能性が高いとの見方を示した。