インタビュー:7月以降の消費回復「止まっている」、成長率下振れも=亀田・前日銀局長

Reuters

発行済 2022年08月22日 19:55

[東京 22日 ロイター] - 亀田制作・前日銀調査統計局長は22日、ロイターのインタビューで、2022年度の経済成長率は日銀の予測を下振れする可能性があるとの見方を示した。クレジットカードの利用状況など高頻度データを見る限り、7月以降は消費回復の動きが「止まっているように見える」という。

亀田氏は今年5月に日銀を退職し、SOMPOインスティチュート・プラスのエグゼクティブ・エコノミストに就いた。

<7―9月期、景気回復は小幅か>

日本経済は4─6月期の実質国内総生産(GDP)が1次速報で前期比年率2.2%増となるなど、新型コロナウイルス禍から順調に回復してきたが、亀田氏は7─8月の人出やクレジットカードの利用状況といった高頻度データの動きを踏まえ「消費は落ち込んでいないが、回復の動きが止まってきているように見える」と語った。コロナの感染再拡大で高齢者を中心に消費を抑制している可能性があるという。

7―9月期の個人消費は「良くて小幅の伸び、悪ければ横ばい圏内」とし、22年度の実質GDPは日銀が7月に示した前年度比2.4%増に対して1%台後半―2%程度の増加にとどまる可能性があると予想。23年度は日銀予測の2.0%増に対し、世界経済の後退色が深まれば1%台の増加になる可能性があると述べた。

亀田氏は上昇圧力が強まる消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)について、携帯電話通信料の大幅値下げの剥落(はくらく)や食料品、耐久消費財の値上がりで「年内に3%に届く確率はかなり高い」と指摘。エネルギー価格の下落で来年の年明け以降は伸び率が縮小するものの、原材料高や円安の転嫁によるインフレは来年度半ばくらいまで続くとの見方を示した。

一方で、夏の消費の弱さ、原油安、政府の物価抑制策を踏まえると、22年度のコアCPIは2.3%という7月時点の日銀予測と「あまり変わらない着地になるのではないか」と語った。

<政策修正>