[ロンドン 5日 ロイター] - 英政府は5日、主要公共サービスの労働者によるストライキを制限し、社会の最低限の安全を維持できるようにすることを目指す法案を近く議会に提出すると発表した。今後、消防や救急、鉄道といった分野に関する具体的な安全の最低基準を協議していくという。
シャップス・ビジネス相は、ほとんどのケースでは自発的な労使の合意が成立し続けることが可能だと期待したいが、安全の最低基準を導入すれば労働者のストを求める権利と、不相応な混乱から市民を守る責任の釣り合いが再び取れるようになると説明した。
法案は成立に数カ月かかる可能性がある。シャップス氏はこの法案発表後スカイニュースで、立法化のタイミングはまさに議会自身の問題になると述べた。
英国では、公共部門で働く看護師や救急隊員、鉄道労働者らが約40年ぶりの伸びになっている物価上昇率に見合う賃上げを要求してストを決行。政府は話し合いによる解決を呼びかける一方、物価上昇率並みの賃上げはさらなるインフレや金利上昇、住宅ローンの負担増大につながると警告している。
最大野党・労働党のレイナー副党首は、この法案が成立しても政権を奪取すればすぐに廃止すると強調。「同法案は行き詰まった政権から出てきた実行不可能かつ不真面目なものだ」と一蹴した。総選挙は来年に予定されており、現在の世論調査では労働党の支持率が与党保守党を大きく上回っている。
国内最大級の規模を持つ労組のGMBは、法案はストを行うという労働者の基本的権利の侵害だと訴えた。