アングル:中国の株式ファンド、中東で資金集め 米国からの投資減少で

Reuters

発行済 2023年10月10日 16:17

Summer Zhen

[香港 10日 ロイター] - 中国の株式ファンドが中東の投資家からの資金集めを目指している。米中関係の緊張などを背景に米国の投資家が中国から資金を引き揚げていることが背景だ。

ヘッジファンドやミューチュアルファンドなど中国の7つの株式ファンド(運用総額5000億ドル以上)の担当者はロイターに対し、投資資金を募るため、今年に中東を訪問したことを明らかにした。うち3つのファンドは初の中東訪問だった。

中東の投資家も、割安感や景気刺激策で利益を得られるとの見方を背景に対中投資に積極的になっている。

法律事務所シドリー・オースチンのアジア太平洋投資ファンドグループ共同リーダー、エフィー・バシロプロス氏は「これまではおそらく米国からの資金調達が究極の目標とされていたが、米国の投資家が資金を引き揚げており、代わりの資本を集めることが焦点となっている。われわれの顧客の多くが中東に目を向けている」と述べた。

今年中東を訪問したファンドの一つ、ファウンテンキャップ・リサーチ&インベストメントのスティーブン・ルク最高経営責任者(CEO)は「(中国に対する)センチメントが最も良好なのが中東の投資家だ」とし、「一部の政府系ファンドは中国をオーバーウエートにしている。そうしたファンドは『なぜ中国なのか』ではなく『中国にどのように投資するか』を話している」と述べた。

ファウンテンキャップはロングオンリー型株式ファンドで、2015年から中国に投資。運用資産は21億ドルと2倍近くになった。欧州のほか、中東からも資金が流入しているという。次はオーストラリアで資金集めを目指す方針だ。

<政治と投資>

テキサス州教職員退職年金基金やカリフォルニア州教職員退職年金基金など米国の大手機関投資家は過去1年で対中投資を減らしているが、中東の政府系ファンドは中国に多額の投資を行っている。

MSCI中国インデックスは今年11%下落。一方で、世界株指数は8%値上がりしている。