消費者物価の基調的な上昇率、見通しの実現確度は少しずつ高まっている=日銀展望リポート

Reuters

発行済 2024年01月23日 12:51

更新済 2024年01月23日 13:54

Kentaro Sugiyama

[東京 23日 ロイター] - 日銀は23日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、物価の基調的な上昇率は見通し期間終盤にかけて「物価安定の目標に向けて徐々に高まっていく」との見方を示した。日銀は先行きの不確実性はなお高いものの、こうした見通しが実現する確度は「引き続き少しずつ高まっている」との文言を追加した。

日銀は2024年度の消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)の前年度比上昇率の見通しを2.4%とし、前回の2.8%から引き下げた。原油価格下落の影響を主因。一方、25年度は1.7%から1.8%へ上方修正した。

物価の基調をより反映した生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIの上昇率見通しは、24年度、25年度ともに1.9%で据え置いた。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、マイナス金利解除に向けて「リーチがかかっている」物価見通しの数字の並びが維持されたと指摘。文言を追加したことについて、マイナス金利解除へ日銀が「じわりと前進している」との見解を示した。

<企業の賃金・価格設定行動、「上下双方向に不確実性が高い」>

経済・物価の見通しに対するリスク要因として、海外の経済・物価や資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動などを挙げ、不確実性は「きわめて高い」と指摘した。「金融・為替市場の動向や、そのわが国経済・物価への影響を十分注視する必要がある」とした。

物価見通しに限ったリスク要因は前回と同様、企業の賃金・価格設定行動と、為替変動や国際商品市況の動向、輸入物価や国内価格への波及を挙げた。