南ア大統領、新味乏しい施政方針演説 激戦選挙控え

Reuters

発行済 2024年02月09日 13:12

Nellie Peyton Bhargav Acharya

[ヨハネスブルグ 8日 ロイター] - 南アフリカのラマポーザ大統領は8日の議会で施政方針演説を行った際、自らが率いる与党のアフリカ民族会議(ANC)の過去30年間の功績を誇示した。だが、過去最悪の失業率や相次ぐ汚職疑惑など足元の大きな問題に対処する計画の詳細説明はほぼ避けて通った。

ANCは、アパルトヘイト(人種隔離)撤廃後初の民主的選挙で故ネルソン・マンデラ氏が勝利に導いて以来、政権を担ってきた。ただ、今年5月から8月にかけて実施が見込まれる総選挙を控え、過去にない厳しい選挙戦を強いられている。

多くの世論調査によると、議席の絶対多数を失いそうで、国家権力を引き続き掌握するには連立政権の選択を余儀なくされる見通しだ。

南アフリカはアフリカで最も工業化が進んだ国。しかし、記録的な電力不足と物流危機が続き、企業活動の足かせとなっており、経済成長が減速している。

大統領は施政方針演説でこうした問題を認めたものの、新しい解決策をほとんど示さず、野次が飛ぶ場面が相次いだ。

ANCは人種差別支配と闘って自由を勝ち取り、政権を握った。その後に生まれたのが現代の大勢の若い有権者で、国の指導者らへの失望と幻滅が渦巻く時代に大人になった。

南アフリカは依然、世界で最も不平等な国の一つ。汚職疑惑が相次ぎ、党の名誉は傷つき、多くの国民は道徳的権威が損なわれたと見切っている。失業率は過去最高水準で、南アフリカ国民の30%以上が職に就いていない。