[ミラノ 5日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は、イタリアの一部銀行に対して期限を設けて不良債権の売却を促す見込みだ。2人の銀行関係筋が明かした。ECBはイタリアの銀行に対して、これまでも資産の質の改善を求めている。 3年にわたる景気後退で、イタリアの銀行の不良債権は3600億ユーロ(4100億ドル)と貸し出し全体の18%を占めるまでになっている。ユーロ圏の平均は6%だ。 不良債権を現在の市場価格で売却すると損失が出ることになるが、銀行が不良債権を保持し続けることになれば、経済を活気付ける可能性がある企業に対して、新たな融資を提供する余地が乏しくなる。 ECBは1年5カ月前にユーロ圏の銀行の監督を始めて以来、イタリアの銀行に対してバランスシートを改善するように圧力を高めている。 関係筋によるとECBは、特定案件について不良債権売却の工程を指示するようになるかもしれない。ECBは先月、イタリアの銀行バンコ・ポポラーレ BAPO.MI とバンカ・ポポラーレ・ディ・ミラノ(BPM) PMII.MI の合併を暫定的に承認したが、その際不良債権の売却について条件をつけた。 両行は合併完了予定の2016年から3年後の2019年までに合計で100億ユーロの不良債権の削減を目標としている。ECBは5年間の猶予期間を設けていた当初の計画を却下した。 関係筋の一人であるイタリアの銀行の最高経営責任者(CEO)はECBが他の銀行に対しても同じようなことを求めると見込んでいる。当局が要求を高める中、銀行はそれに従うほかないと感じている。「遅かれ早かれECBは正式に手段を講じると思う。不良債権の売却計画を求めるかもしれない」と述べた。デリケートな問題であることから匿名で応えた。 ECBはコメントしなかった。 もう1人の関係筋は、ECBが不良債権比率の高さが「異常」であると感じており、売却に期限を設けるかもしれないと話す。 イタリアの司法制度も問題の一因だ。同国では破産手続き完了までに平均で7年以上かかり、貸し手の回復には時間がかかる。 ただ、不良債権市場は機能を回復しつつある。イタリアの銀行バンカ・ポポラーレ・ディ・バリは8億ユーロの不良債権を売却するために政府保証スキームを活用している。バンカ・ポポラーレ・デルエミリア・ロマーニャ(BPER) EMII.MI は9億ユーロの不良債権を競売にかけた。 銀行部門全体を対象とした2014年の健全性審査で最も弱い銀行とされたモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ BPSM.MI は不良債権の総額が470億ユーロで、貸し出し全体の4割を占める。絶対額が最も高いウニクレディト CRDI.MI は800億ユーロで、ローン全体の17%を占めている。
※英文参照番号