イタリア首相が辞意表明、連立崩壊 同盟党首を強く非難

Reuters

発行済 2019年08月21日 07:53

イタリア首相が辞意表明、連立崩壊 同盟党首を強く非難

[ローマ 20日 ロイター] - イタリアのコンテ首相が20日、辞意を表明した。コンテ氏は議会上院での演説で、同盟を率いるサルビーニ副首相が自身や党の利益を優先させ、連立政権を崩壊に導いたと強く非難した。

サルビーニ氏は今月8日、反体制政党「五つ星運動」との連立は崩壊していると主張し、総選挙の実施を要求していた。[nL4N2544WX]

ただ、同氏の策略は失敗に終わる可能性もある。五つ星は中道左派の野党・民主党(PD)との連立政権樹立を視野に協議を開始しており、実現すれば同盟は野党となり、中道寄りの親欧州連合(EU)政権が誕生することになる。[nL4N25F4AT]

コンテ氏は議会演説で、サルビーニ副首相が高い支持率を利用して「自分自身や党の利益ばかりを追求してきた」とし、「彼の決定はわが国にとって深刻なリスクをもたらす」と批判。「議会を軽視し、国を政治的不確実性と財政不安に陥れた責任がある」とし、サルビーニ氏の行動は「著しく無謀」だと述べた。

演説後、コンテ氏はマッタレッラ大統領に辞表を提出した。大統領は、新たな連立政権発足を模索するため21日から各政党と協議を行うと表明した。[nL4N25G3NN]

連立政権を発足できなければ、大統領は予定より3年半前倒しで議会解散に踏み切り、今秋にも総選挙が実施される可能性が出てくる。

協議は21日1400GMT(日本時間午後11時)にまず少数政党との間で開始する。22日にはすべての主要政党の意見を聞き、最後に五つ星との協議を1500GMT(日本時間23日午前0時)に終了する。

21日にはPDも幹部会合で五つ星との連携の可能性について話し合う。

コンテ氏の辞意表明を受けて金融市場は上昇した。早期の解散総選挙を回避できるとの期待が高まったとみられる。[nL4N25G3H3]

イタリアは第2次世界大戦以降、秋に選挙を行っていない。年末にかけての数カ月は予算案策定などに充てられるためだ。