[ワシントン 7日 ロイター] - 米中通商交渉の行方に暗雲が漂ってきた。米政府は7日、中国の監視カメラ大手などを禁輸リストに追加。トランプ米大統領は同日、部分的な合意には満足しないと述べ、交渉に時間がかかる可能性を示唆した。中国国営メディアは、交渉が決裂した場合の対応策を用意していると主張した。
また米プロバスケットボール(NBA)、ヒューストン・ロケッツのゼネラル・マネジャー(GM)が香港のデモを応援する内容をツイッターに投稿したのに対し、中国の国営放送局は、ヒューストン・ロケッツの試合の放映を中止。中国のスポンサー企業2社が協力を停止した。GMは直ちに投稿を削除し、中国のファンに謝罪した。 [nL3N26S0QN]
トランプ大統領は7日、今週に実施される米中閣僚級通商協議について「何か極めて大きなことができる可能性がある」と発言。「大型合意のほうがはるかに望ましい。我々が目指しているのはそれだと思う」と述べた。[nL3N26S39T]
今週の協議が進展する可能性があるかとの質問には「何か起きるだろうか。起きるかもしれない。何とも言えない。おそらく可能性は低いと思う」と答えた。
抗議行動が激化している香港については、中国当局が人道的な解決を見いだすことを望んでいるとし、香港情勢が通商協議の阻害要因となる恐れがあるとの見方を示した。
大統領はホワイトハウスで記者団に「何か悪いことが起きれば、交渉にとって非常に悪いことになると思う。政治的に非常に厳しいことになると思う」と述べた。
中国共産党の機関紙、人民日報は8日、米との協議について、(1)「公平な」合意に達する、(2)完全な協議決裂、(3)「報復しつつ協議する」という状態の継続、という3つの展開があり得ると指摘。
「われわれは良い結果を出せるよう努力するつもりだが、それを無理強いすることはない」と微信(ウィーチャット)の公式アカウントに投稿した。
さらに、最近の展開を踏まえると、米国はまだ「最大の圧力」をかけるという交渉戦術を放棄していないと指摘。詳細には踏み込まず、中国側は、協議が完全に決裂した場合の「十分かつ適切な」対応計画を策定済みと付け加えた。
<米中閣僚級通商協議 今週再開へ>
米中両国は7日、今週の閣僚級通商協議に向け、2日間の日程で次官級の協議を開始した。
ホワイトハウスは7日、米中が10日から閣僚級の通商協議を開始すると確認。
中国商務省も8日、劉鶴副首相と首席通商交渉官が、通商協議のため10─11日に米ワシントンを訪問すると発表。劉副首相は、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、ムニューシン米財務長官と会談する。
鍾山商務相、中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁、中国国家発展改革委員会(発改委、NDRC)の寧吉哲副主任も、協議に加わるという。[nT9N1Z901H]
トランプ大統領は、交渉に進展がなければ、中国からの輸入品2500億ドルに対する関税を今月15日に25%から30%に引き上げると表明している。
米農務省は7日、中国向けで米産大豆19万8000トンの販売があったと発表した。さらに、出荷地不明で24万トンの成約があり、これも中国の可能性が大きいという。中国は9月初旬以降、約350万トンの米国産大豆を注文している。[nL3N26S2LE]
トランプ大統領は、中国による「極めて大規模な」米農産品の購入を歓迎する意向を示している。
カドロー米国家経済会議(NEC)委員長は7日、米政府は中国における米投資家保護を巡り検討を進めているが、米国の証券市場に上場している中国企業の上場廃止は「検討事項になっていない」と述べた。[nL3N26S2NH]
<米、さらなる中国企業を禁輸対象に>
米商務省は7日、中国の監視カメラ大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン) (SZ:002415)や公安機関など28団体・企業を事実上の禁輸リストである「エンティティー・リスト」に追加した。中国政府によるウイグル族などイスラム系少数民族への弾圧に関与しているとした。
同省によると、新疆ウイグル自治区政府公安局とその傘下にある19の政府機関のほか、営利企業8社がリストに追加された。企業はハイクビジョンのほか、浙江大華技術(ダーファ) (SZ:002236)や安徽科大訊飛信息科技(アイフライテック) (SZ:002230)、厦門市美亜柏信息 (SZ:300188)が含まれる。
米政府高官によると、今週の米中通商協議との関連はないという。
*見出しを修正しました。