低金利下では「積極的」な低インフレ対策必要=米シカゴ連銀総裁

Reuters

発行済 2019年10月17日 06:14

低金利下では「積極的」な低インフレ対策必要=米シカゴ連銀総裁

[ピオリア(イリノイ州) 16日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は16日、低金利環境下では米連邦準備理事会(FRB)による金融政策の効果が制限されるとし、リスクが見られる時には経済に対する緩衝材を提供するために「積極的な」利下げが重要になるとの見解を示した。

総裁はイリノイ州ピオリアの経済イベントで、低インフレ時の「過度な緩和」がFRBによるインフレ目標の早期達成に資する一方、十分な政策でなければインフレ期待が低水準に抑制される可能性があると指摘。「ある程度の勢いを持ってインフレ率を上昇させるために十分積極的な緩和を実施する必要がある」と述べた。

また下向きリスクへの迅速な対応の重要性を強調し、今後FRBが必要に応じて利上げする可能性があると言及。「インフレ目標をわずかに上回るよう運営していくことで、将来的なインフレ目標達成を一段と確実にする」とし、「(インフレ率の)過度な超過は緩やかな利上げによって制御可能」と語った。

その上で、FRBが7月と9月に実施した2回の利下げを支持し、金融政策は「現時点ではおそらく適正な状態」にあるとした。

米経済については、今年の成長率が2%を超えるとの見方を表明。ただ通商政策を巡る先行き不透明性のほか、世界的な成長鈍化で企業投資が鈍っているとし、「リスク対応に向けた緩衝材として一段の緩和を実施する論拠が現時点では存在している」と述べた。

一方、英国の欧州連合(EU)離脱と通商問題などがプラスの方向に展開すれば、金融刺激の必要性は低下するとの見解も示した。

エバンズ総裁はイベント出席後に記者団に対し、FRB当局者は短期金融市場における流動性問題の改善に向けた方策をなお検討しており、準備金がなぜ銀行システム内で循環していないのか検証していると表明。問題は準備金の水準だけでないとし、「FRBが望むより長い期間にわたり対応を迫られる」可能性があるとした。

その上で「過去15年程度の間に、市場機能全体が変化した」との見方を示した。