新型肺炎で世界株安、米国は訪中自粛勧告 中国の死者100人突破

Reuters

発行済 2020年01月28日 11:26

新型肺炎で世界株安、米国は訪中自粛勧告 中国の死者100人突破

[上海/ソウル 28日 ロイター] - 中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を巡り、米政府は27日、中国への渡航を自粛するよう勧告、カナダも湖北省訪問を避けるよう国民に呼び掛けた。

人民日報によると、中国で確認された新型肺炎の感染者は4193人、死者は106人となった。

27日は新型肺炎への懸念で世界的に株が売られ、米主要株価指数はいずれも1.5%超下落。原油価格も3カ月ぶりの安値を付けたたほか、人民元も年初来安値まで下げた。市場は、世界第2位の経済大国である中国が、感染拡大を受けた移動の禁止や春節(旧正月)の連休延長で打撃を受けると不安視している。

FTSEラッセルのマネジングディレクター(グローバルマーケットリサーチ)、アレック・ヤング氏は「中国は世界の成長の最大のけん引役だ。これ(新型肺炎)は最悪の場所で始まったと言える」と話す。

トランプ大統領は、新型肺炎の感染拡大について、必要な支援を提供すると表明。「新型ウイルスについて中国と極めて緊密に連絡を取っている。米国内で確認された感染件数はまだ非常に少ないが、注意深く見守っている。習主席にはいかなる支援も提供すると伝えた。米国には類まれな専門家がいる!」とツイッターに投稿した。[nL4N29W21L]

中国以外ではこれまでに日本、タイ、オーストラリア、米国、フランス、カナダなどで患者が確認されているが、今のところ死者は報告されていない。[nL4N29V0DI]

米疾病対策センター(CDC)は27日、米国内で新たな感染例は見られていないと発表。これまで5人の感染が確認されているほか、全米26州で110人が検査を受けており、そのうち32人が陰性反応を示しているという。[nL4N29W2EB]

韓国政府は、新型肺炎の拡大阻止に向けて全力で臨むと表明、予算に計上している感染症対策費などを活用する構えを示した。また、ボラティリティーが高まった場合は金融市場の安定化に動くと強調した。

<高まる批判>

李克強首相は武漢市を訪問し医療関係者を激励、支援拡大を約束した。青色の保護衣とマスク姿の首相は、今後2日間で2500人の医療関係者が武漢入りするとしたほか、新病院の建設予定地を視察した。

アプリを入手する
Investing.comで、世界の金融市場の最新動向をチェックしましょう!
今すぐダウンロード

一方、検閲が厳しい中国のソーシャルメディア上で、新型コロナウイルスを巡り当局者への批判が高まっている。

湖北省では、提供されるマスクの数を巡り知事が会見中に発言を2回訂正したことに批判が集まった。武漢の周先旺市長は、市の対応が「十分ではなかった」と認め、辞任の意向を示唆した。

中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」のあるユーザーは「彼(知事)がデータを何度も間違えるのであれば、感染がこれほど急速に広がるのも無理はない」などと書き込んだ。

人口が約1100万人に上る同市は、春節の連休の中で事実上の閉鎖状態にあり、湖北省も大半で移動が制限されている。ウェイボーでは「湖北省出身者は差別を受けている」との投稿も見られている。

<中国は対策強化>

中国は感染拡大の防止策を矢継ぎ早に打ち出している。鉄鋼業の集積地である河北省唐山は、市内のすべての公共交通機関の運行停止を発表。北京公交集団は、河北省に向かうバスサービスの大半を28日から停止することを明らかにした。