新型肺炎、仏独などで新たな感染確認 自国民や社員退避の動き広がる

Reuters

発行済 2020年01月29日 06:46

新型肺炎、仏独などで新たな感染確認 自国民や社員退避の動き広がる

[北京 28日 ロイター] - 中国・湖北省武漢市を震源とする新型コロナウイルスによる肺炎の感染の勢いは28日も衰える様子を見せていない。中国国家衛生健康委員会によると、死者は同日時点で106人に増加した。中国国内で確認された27日時点での感染者は4515人に達した。

さらにこの日はフランスやドイツなどで新たな感染者が確認されたほか、人から人への感染例の確認も相次いでおり、懸念が高まっている。

中国の習近平国家主席は28日、訪中した世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長と会談し、新型コロナウイルスによる肺炎について国際協力の強化を表明すると同時に、WHOと国際社会の冷静で客観的な判断を信じていると語り、新型肺炎の封じ込めに自信を表明した。

WHOも同日、国際的な専門家のチームを「できるだけ早期に」派遣することに中国が合意したことを明らかにした。

フランスはこの日、国内で4人目の感染を確認したと発表。新たな感染者は80代前後の中国人男性の旅行者で、重体という。

ドイツのバイエルン州保険当局も新たに3人の感染を確認。3人は同国初の感染者の同僚だという。

タイでも新たに6人の感染者を確認。中国からの旅行者で、これで同国で確認された感染者は14人となり、中国以外では最多。

また、これまでに、日本やドイツのほか、ベトナム、台湾、タイでは人から人への感染が確認されている。

こうした中、各国政府による武漢からの自国民退避や企業による中国への渡航制限などの動きが広がっている。

米政府は中国からの旅行者に対するスクリーニング検査をこれまでの5空港から20空港に拡大。アザー米厚生長官は「新型肺炎に対処するすべての選択肢が検討されている。渡航制限も含まれる」と語った。

米国務省は武漢にある米領事館の職員を米国に退避させると発表。航空機の座席の一部を民間の米国民にも提供するとしている。

欧州連合(EU)もフランスからの要請を踏まえ、武漢からEU市民を退避させる航空機2機手配の資金を共同拠出する方針を表明。1機目は29日にフランスを出発し、仏国民約250人を出国させる。