新型肺炎、経済・物価・市場への影響を最大限注視=若田部日銀副総裁

Reuters

発行済 2020年02月05日 16:37

新型肺炎、経済・物価・市場への影響を最大限注視=若田部日銀副総裁

[松山市 5日 ロイター] - 日銀の若田部昌澄副総裁は5日、松山市内で行った記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大が経済、物価、金融市場にどう影響するか最大限注視していくと述べた。ただ、各国の政策対応が出てきていることもあり、過度な悲観論に陥る必要はないとも指摘した。

物価については、進まない賃上げなどを例に、需給ギャップのプラス幅拡大が物価上昇につながるメカニズムが「多少弱くなっている」と述べた。物価目標に向けたモメンタムが失われるおそれが強まる場合は、躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和を打ち出す考えを改めて示した。また、若田部副総裁は2%の物価目標が「(23年3月までの任期中に)達成可能なように努力している」と話した。

5日午前のあいさつで、若田部副総裁は欧米で議論が高まっている「日本化」に言及した。1990年代以降の日本のように低成長・低インフレに陥ることを警戒し、欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の枠組みの見直しを進めているが、若田部副総裁は会見で「(日銀は金融政策の見直しを)現段階では行わない」と述べた。「(政策委員の間で)再検討すべしという声が多数派になっているわけではない」と指摘した。

マイナス金利政策を続ける理由については「政策のベネフィットがコストを上回っている」と説明、「消費者心理にマイナスの影響を及ぼしているとは思っていない」とも述べた。