40%引きでご購読
新規!💥 ProPicksを手に入れ、S&P 500を1,183%を超える投資成績を実現した、戦略をご覧ください40%割引で開始

焦点:新型コロナ急拡大で資産運用に試練、データは当面役立たず

発行済 2020-03-11 10:13
更新済 2020-03-11 10:17
焦点:新型コロナ急拡大で資産運用に試練、データは当面役立たず

[ロンドン 10日 ロイター] - 資産運用担当者にとっては、新型コロナウイルスの感染拡大で世界の株式市場から数兆ドルの時価総額が消えたことだけで、もう十分苦い思いを味わっているが、実はもっと悪い話がある。感染拡大が実体経済や企業のバランスシートに、ひいてはポートフォリオに一体どれほどの悪影響を及ぼすか、皆目見当がつかないということだ。

新型ウイルスがほんの数週間で一挙に約100カ国・地域に広がったため、政府統計や企業の業績に関する発表は実情を反映させ続けるのが難しくなっている。そのため多くのファンドマネジャーとエコノミストは、先々の見通しを立てて戦略的な判断を示すことができない。

つまり、不確実性を嫌うはずの投資家は、結果的に近年で最悪となっている株式市場の混乱や、経済成長を巡る懸念が生じる中、手探りで進むことを強いられている。

交通封鎖や在宅勤務といった政府や企業による新型ウイルス対策は、世界のほとんどの地域の経済に打撃を与える見通し。現在も対策は続けられている上に、新型ウイルスの脅威が変化するので対策の中身も常に修正を迫られ、成長や業績の予想を一層困難にしている。

3700億ドルを運用するジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのマルチ資産責任者ポール・オコナー氏は「経済データは大して役に立たない。データは市場の底値を決して教えてくれない」と述べ、金融政策の面で打てる手が枯渇しかけている以上、中央銀行が発するシグナルも効果がないと付け加えた。

その代わりにオコナー氏は、市場の値動き自体を売買の手掛かりにしている。実際、9日にS&P総合500種 (SPX)とストックス欧州600指数 (STOXX)が2008年以降で最大の下げ幅を記録すると、同氏は市場心理の底打ちが近いとみなして買いに動いた。

確かに経済データは軽視されつつある。先週発表された2月米雇用統計は、雇用の伸びが力強く、失業率はおよそ50年ぶりの低水準となったものの、市場はまさに過去のニュースとして一蹴した。

貴重な景気先行指標として注目される購買担当者景気指数(PMI)も、ユーロ圏で2月に半年ぶりの拡大ペースを見せたが、発表元のIHSマークイットでさえ「偽りの夜明け」だと断じた。

今後の経済見通しにも但し書きが付く。オックスフォード・エコノミクスは9日、今年の世界経済成長率を0.5%ポイント引き下げた。とはいえそれは家計と企業が正常な活動をする能力と意思を持ち、中国が持ち直すという前提が置かれている。

<新たな指針>

あまりにも先が見えないので、専門知識を有する投資銀行に助言を求めようと奔走する向きも多い。

例えばゴールドマン・サックスは顧客からの「膨大な量の問い合わせ」を受け、うちひしがれた市場の行方を占うための幾つかの新たな指標をまとめた。具体的には中国の電力消費を探るには日々の石炭消費を、イタリア経済のダメージを知るにはホテルの客室稼働率やミラノの交通量をそれぞれ調べることを提案している。

新型ウイルスの感染状況を、投資の指針とする考えも出てきた。中国ではどうやら感染が峠を越えたとみられる半面、欧米では感染者が増加しており、今後イタリアにならって特定地域を封鎖し、消費や企業活動が痛手を受ける恐れがある。

パインブリッジ・インベストメンツのマルチ資産グローバル責任者マイク・ケリー氏は「爆弾が命中した地点が安全なので、そこに飛び込むべきだ」と語り、中国A株や銅に買いを入れたり、米国のサービス業などから製造業に投資の軸足を移していると明らかにした。

一方、大胆な投資を敬遠して金や政府債、円といった安全資産の保有にこだわる投資家もいる。スイスのプライベートバンク、UBPの外為戦略責任者ピーター・キンセラ氏は、経済データで事態がはっきり分かるまであと6-8週間かかりそうなので、安全通貨を買うのは「定番」の選択肢だと指摘。「この先数週間、われわれは暗中模索しながら進んでいくことになる」と警告した。

(Sujata Rao記者)

最新のコメント

当社アプリをインストール
リスク開示書: 金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある時は英語版が優先されます。
© 2007-2024 - Fusion Media Limited. 無断複写・転載を禁じます