世界の航空各社が相次ぎ緊急策 各国政府も支援に動く

Reuters

発行済 2020年03月19日 13:12

世界の航空各社が相次ぎ緊急策 各国政府も支援に動く

[シドニー/ワシントン 19日 ロイター] - 新型コロナウイルスの世界的流行による航空業界の苦境は19日に一段と深まった。豪カンタス航空 (AX:QAN)は従業員約3万人の3分の2を一時帰休させる方針を明らかにし、インド政府は最大16億ドルの航空業界支援策の準備を進めた。

国際民間航空機関(ICAO)は各国政府に対し、必要不可欠の医薬品や感染予防で使われる換気装置、マスクなどの衛生用品が確実に行き渡るよう、貨物輸送の混乱を回避するよう呼び掛けた。

旅客輸送は前例のないペースで落ち込んでいる。米デルタ航空 (N:DAL)は航空機600機以上の使用を停止し、幹部の報酬を減らし、輸送能力は需要が回復するまで70%超削減する。

18日の米株式市場で航空株は大幅安となった。米政府が航空業界向けの500億ドルの融資を提案したが、業界側の補助金の要請には応じなかった。融資を受ける航空会社は一定のサービスの提供を続け、融資返済まで役員報酬の伸びを抑える必要がある。

アメリカン航空 (O:AAL)は従業員へのメモで、業績が良いときに配当や自社株買いで過剰な株主還元を行ったため、危機対応の資金が少ないとの批判に反論。幹部は「現在は異例の状況だ。雇用を守り、危機後も市民が航空便を利用できるよう図るためには追加支援が必要になっている」と訴えた。

カンタス航空は、豪政府が海外渡航禁止を勧告したことを受け、国際便全便を停止すると表明。3万人の従業員の3分の2に対し、有給あるいは無給の休暇を取得するよう求めるとした。[nL4N2BB06J]

アラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は従業員へのメモで「残念ながらわれわれの力が及ばない状況で、渡航需要は消滅した。大半の従業員はやるべき仕事がない」とした。

CEOと会長に加え、幹部と取締役全員が少なくとも6月末まで報酬ゼロとなる。

新型コロナ発生源の中国では、大手航空会社は2月の旅客数が80%減少したと明らかにし、輸送能力をさらに最適化し、コスト削減を強化するとした。[nL4N2BB484]

エア・カナダ (TO:AC)は3月31日までに国際便と米国便の大半を停止する方針を示した。

関係筋によると、インド政府は最大16億ドルの航空業界支援策を検討。同業界に対する課税の大部分を一時停止する案が含まれているという。