中国、最優遇貸出金利を予想通り引き下げ 今年2回目

Reuters

発行済 2020年04月20日 11:34

更新済 2020年04月20日 13:27

[上海 20日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は20日、銀行の貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を予想通り引き下げた。企業の借り入れコストを押し下げ、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた経済を下支えする。

人民銀は1年物LPRを3.85%とし、前月の4.05%から20ベーシスポイント(bp)引き下げた。5年物LPRは4.65%に設定。前月の4.75%から10bp引き下げた。

LPRの引き下げは今年に入って2回目。

ロイター調査では、回答者52人全員が引き下げを予想していた。1年物LPRについては大半が20bpの引き下げを予想。住宅ローン金利に影響する5年物LPRに関しては、5─10bpの引き下げを予想する見方が多かった。

ANZ(上海)のエコノミスト、Xing Zhaopeng氏は、1年物と5年物で金利引き下げ幅が異なったことについて、「当局が厳格な住宅市場政策を維持することを示唆している。このような難局でも住宅市場は内需刺激のツールとみなされない」との見方を示した。

中国国家統計局が17日に発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)は、新型コロナの感染拡大を抑制するため工場や商店が閉鎖されたことが響き、前年同期比6.8%減少した。四半期の統計で遡れる1992年以降で初のマイナスとなった。

経済活動は再開されつつあるが、アナリストは、危機前の水準に回復するには数カ月かかる可能性があるとみている。世界経済がリセッション(景気後退)に陥る可能性もあり、中国の回復を一段と圧迫する。

BNPパリバ(北京)の中国担当シニアエコノミスト、ジャクリーン・ロン氏は5年物LPRの小幅な引き下げについて、住宅セクターにおける「カウンターシクリカルな緩和」と解釈できると指摘した。

同氏は「不動産セクターは間違いなく最大の景気けん引役となり、経済成長全体に輸出より大きく寄与してきた。経済がこれほど強い下押し圧力にさらされていることを踏まえると、仮に感染拡大が今年なかったとしても、住宅セクターにおいて何らかのカウンターシクリカルな緩和が見られるだろう」と述べた。

人民銀は前週、中期貸出制度(MLF)を通じた金融機関への資金供給で、1年物金利を20bp引き下げ、過去最低の2.95%としていた。MLF金利はLPRの指針となることから、LPRも引き下げが見込まれていた。

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中国で新型コロナの流行が深刻化した1月中旬以降、人民銀は金融緩和を強化し、中国政府は低利融資や減税、インフラプロジェクトの資金を調達する特別債など一連の財政措置を打ち出した。

ただ、人民銀の危機対応は今のところ、世界的な金融危機の際より限定的となっており、他の中銀と比べてもかなり控えめだ。