ドイツ連銀、国債購入停止も 憲法裁がECBにQEの説明要請

Reuters

発行済 2020年05月06日 00:31

[カールスルーエ(ドイツ)/フランクフルト 5日 ロイター] - ドイツ連邦憲法裁判所は5日、欧州中央銀行(ECB)の資産買い入れプログラムを巡り、ECBが政策の必要性を証明しなければ、ドイツ連邦銀行(中央銀行)は3カ月以内に国債買い入れを停止する必要があるとの判断を下した。

ただ憲法裁は、ECBの資産買い入れ策は中央銀行が財政赤字を補填する財政ファイナンスには当たらないとの判断を示した。

ECBの量的緩和策に基づく公的部門証券買い入れ(PSPP)については、欧州連合(EU)の最高裁判所にあたる欧州司法裁判所(ECJ)は2018年に適法と判定。ECBはユーロ圏債務危機からの回復の支援に向け、これまでに総額2兆ユーロの資産買い入れを実施しているが、独憲法裁の判断はこうした景気支援措置に対する打撃となった。

EUの執行機関である欧州委員会は、域内では「EU規律が優先される」との見解を改めて表明。ECB報道官は理事会がこの日のうちに臨時の会合を開くことを明らかにした。

憲法裁は「ECB理事会がPSPP(を通した買い入れ)が経済、財政政策の効果に対し不釣り合いでないことを示す新たな決定を行わなければ」独連銀はPSPPに参加することはできないとした。その場合、独連銀はこれまでに購入した債券を他のユーロ加盟国と調整しながら「長期的な戦略を持って」売却する必要があるとした。独連銀はECBのPSPPに最も大きく貢献。買い入れ額は4月末時点で5339億ユーロだった。

ただ憲法裁は、新型コロナウイルス感染拡大を受けECBが新たに導入した総額7500億ユーロのパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)については、今回の判断は適用されないとした。

ECBが4日に公表した統計によると、ECBの4月の買い入れ額全体は過去最高となる1375億ユーロで、PSPPを通した買い入れはこの4分の1にも満たず、新たに導入されたPEPPの下での買い入れが全体の75%を占めた。

憲法裁はまた、欧州司法裁はECBの措置を検証できていないため、同裁判所の過去の判断の拘束は受けないとの考えも示した。ECBは欧州司法裁に従う必要がある一方、独連銀はドイツ国内の裁判所の管轄下にある。

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