トランプ政権、連邦職員年金の中国株投資に停止圧力

Reuters

発行済 2020年05月13日 00:37

更新済 2020年05月13日 09:27

[ワシントン 12日 ロイター] - トランプ米政権が連邦職員や軍人の退職金を運用する基金に対し、人権侵害の疑いや米国の安全保障を脅かす恐れがあると米政府が認識する中国企業への投資を停止するよう圧力をかけていることが、ロイターが入手した書簡で明らかになった。

問題となっているのは、軍人や連邦職員の退職金である連邦公務員向け確定拠出型年金(TSP)を運用する政府機関、連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)による400億ドル規模の国際ファンドの投資先。

FRTIBは2017年、利益拡大を目指して2020年下期に投資先を変更することを決定。米政府が警戒する中国企業の株式を含む指数が採用される見通しとなっている。

しかし、米政府内の対中強硬派は、中国軍に製品を供給する中国航空工業集団[SASADY.UL]や、人権侵害で米政府が制裁を科した監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン) (SZ:002415)などの企業に連邦政府職員の年金基金を投資するべきではないと主張している。

中国企業は米国の厳しい財務情報開示規則に従う必要がない、という点も投資家にとってリスクが高いと指摘している。

スカリア労働長官は11日、FRTIBのマイケル・ケネディ理事長に送付した書簡で、中国企業の株式を含むファンドに米国の連邦職員や軍人の退職金を投資することをやめるよう求めた。

同長官には、カドロー国家経済会議(NEC)委員長とオブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)がこうした投資に反対する意向を示す手紙を送っていた。

その中でカドロー氏らは「中国企業への投資には重大かつ不必要な経済リスク」があると指摘。新型コロナウイスの感染拡大について、中国政府の「非難に値する行動」により「追加制裁の可能性」があることに言及している。

FRTIBのキム・ウィーバー報道官は、スカリア長官からの書簡に関するコメントを控えた。ただ、米国の法律ではFRTIBは「投資に関する方針を策定」し、年金基金の加入者の利益のために役割を果たす権限が与えられており、スカリア長官の働き掛けは提言の位置付けとなる。