英、国債入札で初のマイナス利回り マイナス金利観測など背景に

Reuters

発行済 2020年05月20日 22:50

更新済 2020年05月21日 09:00

[ロンドン 20日 ロイター] - 英国では20日に行われた国債入札で、落札利回りが初のマイナスとなった。国債発行金利のマイナスは、借金する国にもうけが出ることを意味する。イングランド銀行(英中銀)の当局者からはマイナス金利に前向きな発言も飛び出しており、中銀がこれまで消極的だったマイナス金利の導入に踏み切るとの観測が背景にある。

2023年7月償還債の入札は、平均落札利回りがマイナス0.003%。発行額は37億5000万ポンド(46億ドル)。応札額は発行額の約2倍だった。

日本やドイツ、その他の欧州諸国の一部は英国に先行し、国債発行金利が既にマイナスになっている。新型コロナウイルスの大流行が世界的に深刻な景気後退を引き起こし、主要中銀が国債買い入れを継続するとの見方が背景にある。

今回発行された3年債を落札した投資家は毎年、表面利率0.75%の利息を受け取るが、額面を上回る価格で落札しているため、満期まで保有した場合、政府からの返済額は貸し付けた額を下回ることになる。

JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル市場ストラテジスト、ヒュー・ギンバー氏は「けさの衝撃的な国債入札で、イングランド銀行の利下げと資産買い入れ増額の影響が明白になった」と述べた。

中銀は3月に政策金利を過去最低の0.1%に引き下げ、国債を中心とする資産買い入れ目標を2000億ポンド拡大した。

金融市場では、年内に中銀がマイナス金利政策に踏み切る公算が大きいと見られている。ただ、エコノミストの間では懐疑的な見方も強い。

英中銀の主任エコノミストを務めるハルデーン理事は、16日付英紙デーリー・テレグラフのインタビューで、よりリスクの高い資産買い入れとともにマイナス金利をより緊急的な形で検討していると表明した。