アングル:中国の金利上昇が示唆する、当局景気刺激策の変化

Reuters

発行済 2020年06月12日 19:00

[上海/シンガポール 12日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた中国で国債利回りが上昇している。当局がリスクの高い金融商品への投資を抑制し、銀行による低金利融資を実体経済に誘導したい意向との見方が背景にある。

中国人民銀行(中央銀行)が短期金利の引き下げを休止したことなどから短期金融市場と債券市場で今週、金利が数カ月ぶりの水準へ上昇した。

ベンチマークの1年物短期国利回り (CN1YT=RR)は2.09%と3月半ば以来の高水準を記録。1カ月で85ベーシスポイント(bp)超の上昇となった。レポ金利とスワップ金利も上昇した。

人民銀は銀行の中小企業向け融資を促進するために同融資を買い取ると表明している。中信証券(北京)の債券調査部門トップ、ミン・ミン氏は「人民銀が中小企業や零細企業向けの信用を急拡大させることを狙ったものだ」と分析し「こうした見方が債券が大きく売られている主な理由だ」と指摘した。

PBOCのこうした動きについて、アナリストは景気刺激策によるマネーが裁定取引や過剰な借り入れに使われることを阻もうとしているとみている。