[東京 13日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG) (T:8306)の亀沢宏規社長は13日までにロイターのインタビューに応じ、今年2月に資本業務提携した東南アジアの配車サービス大手グラブとの協業で「次世代金融サービスに挑戦したい」とあらためて強調した。商業銀行の新たな買収に関しては「現時点で想定していない」とし、インドネシア子会社のバンクダナモン (JK:BDMN)など既存出資先との提携効果を追求する考えも述べた。
グラブは、インドネシアやタイなど東南アジア8カ国でライドシェアの配車や宅配、デジタル決済などの事業を展開している。新型コロナ感染拡大に伴う外出自粛でライドシェアは不振だが、グラブのスマートフォン用アプリを通じ、年度内にもタイで新たな金融サービスを本格展開する構想を明らかにした。
グラブとの提携は同社が掲げるグローバル戦略投資の一環で、亀沢氏はインタビューで「グラブの顧客にパートナーバンクからローンを出すとか、いろんな選択肢を実現したい」と語った。海外戦略を巡って「『量から質』を基本に、低採算のアセットを売却するなど経費をコントロールし、経営資源の最適配置を進めたい」との考えも述べた。
新型コロナ対応では、これまでにコミットメントラインなどの融資枠設定や海外での融資も含め、貸出残高の1割強に相当する12.5兆円程度の融資を実行したことを明らかにした。
資金繰りに関連する相談件数が1万6000件を超え、金額ベースで23兆円に上る現状も併せて示し、「金融サービスを通じて顧客や社会を支え続けることは社会的使命。創意工夫しながら業務運営にあたっていく」と強調した。
(梅川崇、山口貴也)